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HyogoKurumi.Scribble

私はこの社会が省略した事柄を言語化している人です。

制作日誌 No.13:ホームレスに会ってみた

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 5月突入。気分的には落ち込んでいた。出演者いないし、オフ会も失敗。制作日誌No.8で話した『私がなりたい職業投稿フォーム』も、全く反応が感じられないので削除した。そして消した後に削除する必要はなかったのでは、と自問自答してさらに落ち込んだ。

 リアル仕事の関係で生活にも変化が起きている。プロジェクト始動時には予定になかったことだ。前よりもこっちに割ける時間が減ったのは確か。
 だんだんぐだってきたなぁと思っていたところに、『空のとびかた』プロジェクトのtwitterアカウントにフォロー通知が来た。それ自体はいつものことだが、今回はいつもと違った。

 両目をドアップに写した不健康なヘッダー画像。普通はこの時点でページを閉じるだろうが、自撮りと思しき笑顔のアイコン画像(今は変わっている)は健康的だった。そして固定ツイートに目がいった。


僕の夢は
紅白に出ること
代々木公園の人前で堂々と歌うこと
日産スタジアムでコンサートすること
バラエティに出て活躍すること
爆笑問題の番組に出ること
女にモテること
世界平和
映画に出たり、撮ったりすること。

 なんだこれすげぇ! というのが第一印象。
 『夢』って持ってない人からみると、一つあるだけでもすごいんだよね。でもこの人は1,2,3……9個。どんなけ欲張りなの。
 どこまでが本気でどこまでが勢いなのかはわからないけど、これだけの事を自分の夢として公表できるのはただ者ではない。
 おまけにプロフィールのリンク先をみると本人のyoutubeチャンネルに飛んだ。歌も歌えるようだ。

 なんだこの変人は! すぐに連絡をとらなければっ!

 個人的な興味も尽きないし、『空のとびかた』プロジェクトとも相性が良さそうだ。
 DMを送ってみると、すぐに明るい返事が来た。

 そして5月7日、午後。都内某所の公園で鈴木氏と合流した。ギターケースをしょっているので遠くからでも一目でわかった。

 挨拶と握手の後、座れるところまで移動。とにかく腹が減っているだろうと、近くのコンビニに寄って食料を援助した。

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 それから、夕方頃までずっと話をした。「なぜホームレスになったのか」という話をメインに、これまでの人生のこと。そして私も自分の人生を話した。

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 一応、発達障害の話もしたが、彼は診断を受けている人ではないようだ。ケアレスミスの頻度やコミュニケーションについても簡単なヒアリングをさせてもらったが、少なくとも茶話会などで実際の当事者と喋った時に感じるいつもの感じや、奇異な特徴などは特に感じなかった。

 日が落ち始めた頃からは流石に話も途切れがちになり、公園の風景を二人で眺めるだけの時間が増えていった。私も歩き旅をしている時、行きついた先の公園や道の駅で、こんな風に人の姿を眺めていた。そして今までの事や、これからの事を飽きるまで、あるいはもう、何も浮かばなくなるまでただ想った。

 私の歩き旅は発達障害特徴の克服の旅だった。その中で最も重きを置いていた事が「考えたい事を好きなだけ考える」ということだった。頭に浮かぶ事を全て出していじくり倒す。それからやっと、新しいを考える事ができるのだ。

 この精神は小説などの創作活動でも用いている。頭に浮かんだ作品を全て出し切ってからが始まりだと私は思う。

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 夜はマックを奢った。この時は主に私の放浪旅の時の話をした。旅中に撮った写真をみせ、その旅中にもホームレスの人と行動したことがあること。その数年後に決行した原付カブバイク旅(埼玉→三重)。そんな話をして盛り上がった。

 そして『空のとびかた』プロジェクトの活動の話もした。この日は雑談だけのつもりで、活動関係の話は控えるつもりだったのだが、誘いたいという気持ちを抑える事ができなかった。
 実は、プロジェクトの動画で用いているBGMを作ってくれた音楽家の協力者が、現在、活動休止中なのである。来年の四月、プロジェクトの映画公開の時まで休止は続く見込みで、つまり映画用の音楽の当てがない状況だったのだ。

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 そして夜、彼に歌ってもらった。
 不登校、高校中退、上京後の挫折。決して平均的ではない人生。でもギターだけは、中学生の頃からずっと続けてきたらしい。実は私も十代の頃、ギターの初心者セット(アンプとか全部そろってるやつ)を買ってギターリストを目指した事があったのだが、一ヶ月も続かなかった。思ってた以上に思い通りに引けない現実が心を折った。私だけじゃなくて世の中にはそういう理由で長続きしなかった奴がたくさんいるだろう。だからずっと続けてきた、というだけでもすごいと思うのだが、さらに驚く事に、俺には音楽しかない――とかそういう熱意があるわけでもないらしい。ただ続けてきた、それだけらしいのだ。

※動画は鈴木氏が別の日にアップしたもの

 彼が持っている作詞ノートを見せてもらった。……私は以前、あるところである曲を聞きながら、自分の文章力でも作詞できるかどうかを試した事があったが、歌詞らしい言葉は1フレーズも思いつかなかった。でも彼は「こんなの誰にでもできるでしょ」と言った。いやいやいや、無理だよ!

 ……というのは歌を披露してもらった後に聞いた話なのだが、彼の演奏からは素人耳でもどこか不完全な何かを感じ取る事が出来た。私は音楽については何もわかってないから、その印象、この感想、表現が適切なのかどうかもわからないし、声量不足か、ギターの音か、それが何かを特定する事はできないのだが、ただその隙間みたいなところに自分の意識を共有させることができたのだ。一言でいうなら、とても自然体で、そこに安心感や親しみのような感覚を持てたのだ。私は池袋などで路上ライブをしている演奏には、耳は傾けるものの足を止めた事は今までにほとんどないのだが、彼の歌には足を止めていただろう。
 また来週会って、今度は歌の収録する予定だ。

 彼はとても元気だった。元気なら日常に戻って働くべきだ、と思う人もいるだろう。でも私と『空のとびかた』プロジェクトは彼の『今』を応援したい。



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