HyogoKurumi.Scribble

人は、言葉からは逃れられない。

山本一郎氏(個人投資家)がYahooニュースで、精神医療界の今を問う伊藤隼也氏著書のうつ関連本を、デマ本と紹介して騒動に

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 成人発達障害へ にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 自閉症スペクトラムへ にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 発達障害グレーゾーンへ



 26日、ネットをしていたら香ばしいニュースが飛び込んできました。

■伊藤隼也(医療ジャーナリスト)が自著で「うつ治療」関連のデマを流して騒動に
記:山本一郎 | 個人投資家 2016年6月25日 14時2分配信
bylines.news.yahoo.co.jp

 記事を二度三度読み返しましたが、随分と雑な調べで書いたものだなぁというのが最初の印象です。

 どう読んでも伊藤氏に対する山本氏の恣意的な嫌悪感が見え隠れしてしまうのですが、大真面目にこの記事を書いたのだろうと仮定した上でこの記事の総合的な評価をさせて頂きますと、山本氏はこの類の本の読み方や内容の受け止め方、精神疾患と向き合っている一般人がどういう気持ちで精神医療界隈と向き合っているのか、そういう意識面について、語れるだけの理解がなかったと言わざるを得ません。

 特に目についた点だけですが、記事のコメント欄に、不可解な点をご指摘させて頂きましたので、興味のある方はどうぞお読み下さい。


 この記事では、山本氏の記事の内容と著書の内容を比較した上で、主に整合性がとれていない部分を指摘させて頂きます。



小学館より出版された本にかなり致命的な間違いがあり、しかも訂正しないということで揉め事が広がっております。

 冒頭部分ですが、この時点で既に3点も不可解な記述があります。

 まず、致命的とは言い難いです。間違いである事は確かなんです。この間違いについては私も制作関係者から話を聞きましたが、単行本化にあたり、見出しをつけた編集者が誤った計算方法をしてしまい、そのまま数値を使ってしまったということです。また、編集工程の都合上、とても気が付き難い部分だった旨の話を聞いています。

 この間違いについて、丁寧に解説されていたブログがありましたので、紹介引用させて頂きます。

一流の詐欺師は9つの本当で1つの嘘をつくが三流の詐欺師は1つの本当で9つの嘘をつく|八咫烏(やたがらす)ーメンタルヘルスの罠

小学館の本の記載で間違っているのは、検出件数を死亡者数としたことである。 覚せい剤の検出数139件に対し、医薬品び検出数3339件である。 139×24=3339 これが24倍の根拠である。

東京都監察医務院に確認したところによると、 剖検による検出数と言うのは、 医薬品の場合、 胃内容物、血液、尿であり、1死亡当たり約3件検出されるという。 つまり、1死亡例当たり3件の検体があるということだ。 覚せい剤の場合は、胃には検出されないので、血液、尿から検出される。 つまり、1死亡例当たり2件の検体があるということだ。 死亡者数に換算するなら、 医薬品の場合は三分の一(小さく見積もって)、覚せい剤は二分の一にすれば、ほぼ死者数に換算できる。 3339/3=1113 139/2=69.5 1113/69.5≒16

正しい記述は、 「医師の大量処方が覚醒剤中毒死の約16倍の死者を出している」 となる。

 というわけです。別に"やばさ"の認識に影響はない感じです。私だったら2倍だったとしても嫌ですし、別にこの間違いを知らずに25倍だと思い込んだまま生きていたとしても、日常生活に支障はなさそうです。



 ではこの山本氏の記事の中で、主たる問題個所として指摘がされている25倍という数値について、『第2章 医師の大量処方が覚せい剤中毒死の約25倍の死者を出している』の項の内容について、私なりに内容を紹介させて頂きます。

 冒頭は、軽い不眠と頭痛で近所の心療内科クリニックを頼った30代前半の女性が、睡眠障害という診察が受けるも、次々と処方される薬が増え続け、最終的には40錠に達した末に死亡してしまったエピソードが綴られています。司法解剖の結果、死因は「薬物中毒」だったそうです。こういうエピソードに馴染みがない人もおられるかと思いますのでわかりやすく言い換えますと、お医者様から処方されて飲んでいた薬が多すぎて、死んでしまったという話です。

 この後、東京都観察医務院の動向に話が移ります。司法警察の検視を経て不審とされた異常死の行政解剖を行ったそうです。

 06年から10年の5年間に同院で行われた行政解剖数1万3499件において検出された薬物は、覚せい剤等136件に対して医療薬品などは3,339件だった。死因不明の遺体において違法薬物である覚せい剤より、医師に処方された医薬品の方が約25倍も多く検出されている

 ここでも上記でお伝えした計算間違いの数字(検出件数を死亡者数としたこと)が出てきますね。一読者として言わせてもらうと、どっちにしろ多いですし、何倍だったか知る為にこの本を読んでいたわけではありませんので、別にどうでもいい感じです。25倍という結論を伝える為の項目でもありません。

 その後、また別の当事者のエピソードが綴られています。1日13種26錠というプログラマーさんの話です。徹夜勤務が続いたと書いてあるので、俗に言う、デスマーチでしょうか。リアルですね。
 診察はいつも十数分程度。薬をたくさん飲めば治るという認識だったそうで「薬に支配されていた」という本人の言葉が記述されています。通院先の閉鎖に伴い転院した先で、医師は以前の処方をみて「メチャクチャだ」と言ったそうです。同じ種類、効力の薬が、何種類も出ていたのです。

 育児ノイローゼになった主婦のエピソードも綴られています。この方は育児ノイローゼが基で病院を転々としたあと精神科へ入院中。その時は1日40錠。退院後も薬の処方は続くも、症状は悪化し、刃物を手首に押し当てるなどの行為を繰り返したそうです。あまりの苦しみに断薬を試みるも症状は改善せず、その後も通院や入院を繰り返した、と。この人が助かったのは、幸運にも薬をなるべく使わない治療法をとっているクリニックをみつけられたからでした。心身への負担がなるべくかからないよう、少しずつ減薬をして、その後、自分を苦しめていた症状が改善していったそうです。最後のコメントには、薬を減らした事で体にかかる負荷が減った事、そして自分と同じ病院で入院していた人が退院後に2人、自殺した事がかかれています。

 次は多剤処方について、医師の見解と厚生省の発表、回答が書かれてます。

・使うとしても減薬していくことを前提に、症状が出て必要な時だけ処方する。(A病院院長 ※著書内では実名)
・海外では単剤、または2種類の処方が基本。日本では『薬をたくさん出してあげることが良い治療』という"薬信仰"が根強い。(B病院院長)

 厚生省のコメントにはもやっとしました。

・ほとんどの場合きちんと処方されているという認識。患者は処方通りに服用する事が大事(厚生省)
・対策については現在どういう処方が行われているのか調査中(厚生省)
・結果をふまえて対策を考えていくので答えられない(厚生省)

 その次は医薬品添付文書の注意、禁忌違反について書かれています。

・初診で7種類の薬。1日で15種類50錠というケースも。患者に薬の説明をしたら、その医師からクレームが来たことも。(都内の薬局に勤務してた薬剤師の告白)

 そして本章の最後には、多剤大量処方を食い止める方法として、レセプトチェックと、副作用報告制度について書かれています。まず"レセプト"とは、医療機関健康保険組合など保険者に請求するの明細書のことです。診療内容や処方された医薬品名が記されているもので、都道府県の国民健康保険団体連合会が、適切な処方かどうかの審査を行う、とあります。ところがこのチェックを行っている健康保険組合の多くが今、厚生労働省天下り先となってしまっている実態があるらしいです。本書ではこの実態について、慣れ合い構図を崩し、チェック機関の力と独立性を高めるべきだと訴えています。

 副作用報告制度については制度の問題点が挙げられています。報告できるのは医療従事者と製薬会社に限られているそうです。被害者遺族の方のコメントがあります。「現状では患者側が副作用を訴えても医師が認めない限り、国や製薬会社には報告がされません。患者側からの副作用情報を活かす仕組みが必要です」

 そして、それに近いものとして、『独立行政法人 医薬品医療機器総合機構』のインターネットサイトが紹介されています。

www.pmda.go.jp

 このサイト内で、患者またはその家族が副作用情報について報告したり情報共有できるそうです。

 この本文のあとで、最後に4点の注釈が記述されています。データの見方(上記の間違っている部分)や、情報の引用元のこと、そして、単行本化にあたり厚生省に改めて回答を求めた内容が記述されています。

 山本氏の記事だけでこの本を知った方の多くが知らないままだと思いますが、この著書は初めから単行本として制作されたものではなく、もともとは『SAPIO』『女性セブン』という雑誌に連載されていた内容です。
 本書の巻末にはそれぞれの掲載年月が表記されています。

・第1章~第4章……『SAPIO』11年10月5日号~12年7月
(省略)
・第8章~第10章……『女性セブン』14年9月11日号~9年25月
(省略)
・第14章……『SAPIO』15年2月

 そして著書の発行は2015年4月です。


 話を戻します。単行本化にあたり厚生省に改めて回答を求めた内容が記述されています。

・多剤大量処方を行っても効果は一定である一方で、副作用のリスクは増大するという報告があると認識してている。(厚生省)
・精神運動興奮などの症状により、やむなく大量処方となってしまう患者がいるという報告も受けている。(厚生省)

 加えて、上記の本編内にある厚生省に対する取材の後、11年11月1日、厚生省が『向精神薬の処方実態に関する報告及び今後の対応について』と題した文書を発表した旨の詳細が綴られています。「用量内の処方が行われていた、ほとんどは単剤処方が行われていた」という結論付けられた内容があり、著書と取材班は問題視した事と、単行本化にあたりこの文書を示した上での回答として「向精神病役の減量ガイドラインの作成やマニュアルなどの作成、周知を行ってきております。引続き適切な処方を心がけてもらうようお願いしていきたい」という回答を得たそうです。


 これが、山本氏が25倍だデマだガセネタだと記事内で指摘している章の全体内容です。
 とても順当なストーリー性があり、内容からも必然性が感じられました。
 25倍という数値が著書全体の内容を支えている重要素、という感じも特にありません。



しかも訂正しないということで揉め事が広がっております。

 これを読んで、著書の回収や訂正アナウンスを行う必要があると、そう大真面目に思える人がいるとすればそれは、この本を資料用途として考えている者だけではないでしょうか。そう言えるのも、この本は専門家が資料として読む為に使えるものではありません。私の勝手な評価ですが、一般人が「私も精神科に行くときは、こういうことに気を付けようっ」と、それを叶えることが主たる役目です。数値に注目している人がこの本を手に取ることはまずないでしょう。

 どんな本にも主旨や用途、目的、役目があります。
 雑な例えですが、昆虫の正確な情報を求めている人が、『はらぺこあおむし』を手に取りますか?
 『はらぺこあおむし』を読んでいる人が、描かれている昆虫をみて、実際の形や大きさと違うことを問題視しますか?

 ちなみに、小学館は計算法の間違いを認めた上で、重版の際には修正すると回答しています


 揉め事が広がっている、という点について、これも極めて不可解な認識です。

 記事のコメントでもご指摘しましたが、引用紹介されている@Tetstationというアカウントは、伊藤隼也氏に対する誹謗中傷ツイートを一日中繰り返している攻撃アカウントです。このようなtwitterの利用ポリシーに問題のあるアカウントをなぜここで紹介しているのか。

 で、同様の”伊藤氏叩き運動”を連日繰り返しているアカウントは他にもありますが、とりわけ問題なのがNPO詐称疑惑のあるこちらのアカウントです。

f:id:hyogokurumi:20160629235857p:plain:w100  f:id:hyogokurumi:20160629235902p:plain:w100  f:id:hyogokurumi:20160629235907p:plain:w100  f:id:hyogokurumi:20160629235911p:plain:w100  f:id:hyogokurumi:20160629235915p:plain:w100  f:id:hyogokurumi:20160629235920p:plain:w100  f:id:hyogokurumi:20160629235925p:plain:w100  f:id:hyogokurumi:20160629235929p:plain:w100  f:id:hyogokurumi:20160629235933p:plain:w100  f:id:hyogokurumi:20160629235938p:plain:w100

 こちらの名称『日本医療ジャーナリズム研究機構』はNPOを名乗っていますが、内閣府NPOのサイトで団体名称検索してもヒットしません。各地の支部名で複数アカウントを作られていますが、実態が不透明ですし、何より、一個人を叩く為に活動するNPOなんてまず認められるわけがありません。

 同様の運動に加担している他のアカウントも、タイムラインが全体的に伊藤隼也氏に対する誹謗中傷や嘲笑、叩きを主としたツイートばかりで、真っ当な神経でみれば、伊藤氏叩き運動をしている彼らの言葉や主張に耳を傾けようとは思わないでしょう。私も一度何名かとやりとりしましたが、こちらが脳障害を起こしかねないほど解説力がない上、ちゃんと聞こうとしても、話の出口が全て伊藤隼也氏の悪口になるので話になりませんでした。

 これらは詳しく調べなくても、関連するツイートを少し追うだけでわかることです。それ以上追ってもそこから先の広がりがみえません。せいぜいtoggetherのまとめ記事がゴールです。伊藤隼也氏に恨みを持っている一部の人間たちが起こしている限定的な炎上、もとい、何らかの運動である事は詳しく調べなくてもすぐに指摘できます。これをあたかも不特定多数の人が集まって問題視しているネットあるある的な普段の炎上だと認識するには、無理があります。

 貴方がもし伊藤氏叩き運動に加わるとしたら、どうすれば効果的だと思いますか? 私はとりあえずこのアカウントの存在をなんとかします。イメージダウンであり、味方を増やす上で弊害になるからです。

 そしてこのNPO詐称疑惑のあるアカウントの親玉が、どうにも私には@Tetstationだとしか思えないんですが……。
 山本氏と@Tetstation、そして@Tetstationと@jmjri。ここにどういう繋がりがあるのか、大変興味深いところです。と、念のために、言っておきます。



 伊藤さんの問題を指摘されている内容が結構派手でして、このTogetterまとめでもあるとおり「『自殺者』と『抗うつ剤の売り上げ』がほぼ同じ時期から増え始めていた!」とか「医師の大量処方が覚せい剤中毒死の約25倍の死者を出している」などと、明らかにトンデモなもので、まあ単純にガセネタの類ではないかと思います。

「『自殺者』と『抗うつ剤の売り上げ』がほぼ同じ時期から増え始めていた!」という記述について、こちらは第一章の見出し部分の文章です。見出しというものは注目を引く為に注目を引きやすい言葉で書くものですから、そういう受け取り方をするものではありません。第一、著書の内容には増え始めたと指摘できるだけのデータが掲載されています。

 ちなみに『SAPIO』という雑誌はこんな雑誌です。

SAPIO 表紙 - Google 検索

 私は雑誌そのものを読んだ事はないのですが、表紙から受けた印象としまして、この見出しは雑誌のカラー通りのテキストだと感じました。

 第1章は、東京都福祉保健局、厚生労働省調査、富士掲載医療用医薬品データーブック、実際の医師の見解など、調査や取材で得られた事から総合的に示唆できる事、指摘できることが書かれている内容です。精神医療界隈の医療実態という、不透明な領域を言語化する試みです。読者はそれをわかった上で読むものです。まえがき部分にも、この本には取材した内容が書かれているという旨がきちんと記されており、そういうジャンルの書物であることは十分に理解できます。その上で導き出された指摘に対して、ガセネタという言葉はカテゴリ違いという印象があります。単に「データ収集不足だ」などが順当だと思うのですが、わざわざガセネタという言葉を用いたところに偏向的な悪意を感じます。


医師が抗うつ剤などの大量処方が理由で自殺者が増え、結果として覚せい剤による死者の25倍に至るというデータは、問題の発端となっている東京都監察医務院の資料を見ても確認できません。また、医師に直接取材した体になっていますが、死者の絶対数の話であって、死因や母数に関しては何の情報も記載されておらず、死亡率での比較であるべき本件ではまったく信頼できる記述になっていません。
覚せい剤使用者はそもそも抗うつ剤を処方されている患者数よりも少ないと見られ、検挙者のように明るみに出ている人数だけで見ても「死者の数を抗うつ剤処方患者数と比べることが間違っている」というレベルです。

 25倍という間違いについての指摘なので、ここは合っているとします。


精神科医らがうつ病患者などに対して処方する抗うつ剤によって自殺する人数が増えた、したがって精神医療は信頼できないという単純な結論ありきでネタを繋ぎ合わせたところ、医療不信を根拠なく導くガセネタになってしまったものと見られます。

 著書はそのような内容の書籍ではないです。本書は「多剤処方」の危険性と利益相反の影、その実態調査から指摘できる事を内容の主とし、その上で精神医療の今を問う内容です。どこにも結論はありませんし、精神医療の不安を解消する情報も満載です。

実際にこの著書を読むと第3章「子供への向精神薬の処方で脳に薬が蓄積される」第9章「親も教師もありがたがる『発達障害=病気』の烙印」など、読んでいるこちらが脳障害を起こしかねない記述が並んでおり、単なる「みだりな向精神薬の処方はやめましょう」レベルを超えた医療否定が根拠なく並んでいる状態です。

 これも見出し部分の引用ですね。山本氏の記事は、見出し部分の引用ばかりですが、本当に内容を読まれたのでしょうか。

 第3章「子供への向精神薬の処方で脳に薬が蓄積される」の内容はざっとこんな感じです。厚生労働省の研究班のアンケート結果、教師から病院を進められて向精神薬の処方に至ったエピソード、子供と大人の脳の発達の仕組みの違いから指摘できる向精神薬のリスク、発達障害の原因がまだわかっていない中で向精神薬の処方が先行してしまっている現状に対する疑問、国連児童権利委員会が日本のADHDに対する薬物処方を主とした医療に対し、社会的要因が適切に考慮されていない現状について懸念があると表明していること、製薬産業とは独立した形で実施するよう勧告を出していること。

 第9章「親も教師もありがたがる『発達障害=病気』の烙印」は、海外の医療と比較して、発達障害に対して理解がない日本の現状について書かれています。他、米国精神医学会による精神障害の診断医療マニュアル(DSV-Ⅳ)の内容に挙げつつ、安易に薬に頼ってしまう実態を危惧した内容が書かれています。

 私の言葉で感想を言わせて頂きますと、この章からは現状に対する著書の嘆きが伝わってきました。
 向精神薬を子供に与える事を、プログラムのインストールのように考えている医者や教師、保護者がいるのです。


さすがに看過できない記述も多いことから、有志が何名か発行元である小学館に事実関係の確認をしていますが、結論から言うと問題の記述がデマであることを認めたうえで「重版の際に対応する」という回答であり、それって重版にならなければ間違った記述が載ったまま本屋に並んじゃうということなのか心配になります。

 ここは文章のひっかけでしょうか。一読しただけだと勘違いしそうですが、看過できないと思った人山本氏ではなくその何名かの有志であり、確認をしていますがと書いて、今まさに山本氏自身が対応中であるようなニュアンスで書いていますが、確認はもうその有志がやり終えていますよね。記事の中にあるまとめ記事の中で。まぁここはどうでもいいんですが、数ヵ月も前から指摘されている鮮度の落ちた情報を今まさに緊急対応しているかのようなニュアンスで書くのはどうかと思いました。

 あと一度、デマという言葉の意味を調べた方がよいでしょう。デマという言葉を「内容の間違い」という意味で使用されているように見受けられるのですが、デマとは「なんらかの意図をもって流す情報」で、つまり、内容の裏に作為的な意図があって、初めて適当と言える言葉です。「根拠がない噂」などの意味で使われる場合もありますが、本書はその指摘に至るまでのストーリーやデータを十分に明かしています。この本書をデマと言うならそれにあたる伊藤氏の作為意図や新事実を主張の中に含める必要があります。著書の見出しとその印象だけをとってデマというのは日本語的に無理があります。

 もし私が伊藤氏叩き運動に参加している側だったら、怒っているところです。「こんな記事、本を読んだ人からみたら、でたらめだってすぐわかっちゃうじゃん! こっちの印象が悪くなってしまう!」と。

 その後の記述に「重版の際に対応するという回答について」「本屋にそのまま継続して置かれてしまうこと」を問題視していますが、そもそも問題視する必要がない部分である事は、これまでの記述で指摘したのでスルーします。



昨今、この手の医療従事者の適切で懸命な治療が行われているにも関わらず、

 著書の中では医療従事者の適切で懸命な治療を参考に、不適切な医療が指摘されていました。

ごく一部の問題医師や異常な症例などを手がかりに伊藤隼也さんのような人物が

 ごく一部とは言い難いという印象を受けました。どこかで誰かが動かなければ、危険な医療行為が今もスタンダートになっていたかもしれない、と感じました。

特に統計的な事情も明らかにせず「問題だ」と指摘して

 ここまで正々堂々であり、丁寧にデータが示してある医療啓発本もそうそうないと思いました。
 何よりテレビ局の取材力が大きく、一個人や一医師、一団体での制作力は難しいでしょう。

医療不信を煽る行為が増えているように思います。

 そもそもこの本は警鐘を鳴らす事も目的としていますから、そこで不安を煽ってしまうことは当然であり、読者はそのつもりで手に取る書籍です。

もしも、個別の症例で問題医師が間違った処方をしているということであれば、それはその医師や医局、医院の問題であって、その治療全般の有効性を認識して適切に処方している他の数多の医師の診療や処方をけなして良いとはならないはずです。つまりは、不確かな根拠で医療全体を否定することで、病気に罹って不安に陥っている患者相手に医療不信を煽って飯の種にしているのが伊藤隼也さんのような商法ではないかとも感じられるわけなのですが、どうなのでしょうか。

 これもおかしな認識です。この類の問題の全容を明らかにしている確かなデーターがあれば誰も苦労しないのです。問題の実態を明らかにするには、あちこちからデーターを集めて総合判断し、そこから指摘できる実態にタイトルをつけるという展開をとるしか術がありません。また不安を煽るだけではなく、医師たちの意見を基に、健全な精神医療のありかたについて、専門知識のない一般個人でも理解しやすいよう丁寧に書かれていますね。

むしろ、彼のような人物が言うべきことは、ヤブ医者がいるのであればこれを特定し、医療全体が問題だというような一般論ではなく個別の医院のどの医師が問題かきちんと指摘することではないかと思うのですが。

 ここが特に変です。著書には製薬会社から謝礼を受け取った医師の名前がリスト化されて掲載されています。ちゃんと指摘されているんです。この本の内容を題にした記事の中でそのような指摘をすると、本の内容と整合性がとれません。



 これで記事文章全体への指摘をさせて頂きました。総合的に判断しまして「山本氏が著書を読んだ」とは到底思えません。

・山本氏の指摘引用している箇所は目次ページの「見出し」のみであること

・山本氏はこれを伊藤氏の自己の推論に基づくエッセイだと思っているようだが、著書は取材先の医療被害当事者や、医師、公的機関の回答、調査により入手できた公的データが主たる内容であること

・著書内に書いてあることが、書かれていない事になっていること

 推測ですが、まず最初に問題点が資料的に解説されているページを読んだのでしょう。だから資料媒体という観点で評価してしまっているのです。著書を入手したのはその後でしょう。それでも内容はほとんど読まず、「著書は読んだ」と言える為に、目次と該当箇所にだけ目を通した。これならありえそうです。それか単に読書感覚に著しい偏りがあるか、です。25倍という間違いを大きく受け止めた故の評価だとしても、内容に対する解釈がとても変です。


 これで山本氏の記事文章についての指摘は以上です。
 私のこの記事についての、読後の感想をアンケートでお聞きしたいと思いますので、この記事を読んで下さった方、宜しければご参加下さい。


 私はこの本の力や価値を守りたいと思います。この記事がその支えの一助になれれば幸いです。


 『うつを治したければ医者を疑え!』は大量処方問題と、その被害者やご遺族の言葉、向精神医療薬の恐ろしさと戦う正義の医師たち、製薬会社との利益相反といった医療界の問題に関する話が書かれており、大多数の人はあまり聞き慣れない話だと思われるかと思います。陰謀説本のような印象を受けるかもしれませんが、私はこの本を読んで、医療感が覆るような大きなインパクトを受けたという認識はありません。私は発達障害の診断を受けていまして、これまでにも関連書籍を何冊か読んできたのですが、「発達障害治療薬」と「副作用」はどの関連書籍を読んでも必ずといっていいほど書いてあるくらい関わりが深いテーマでして、むしろ常識だと思っていました。発達障害の現状についてそれなりに情報収集をしている人なら、「医者から出される薬」と「副作用」「利益相反」の関係性は、私のようにこれを社会の現実として捉えていると思います。

 過去記事にて、著書の読書感想文を書いていますので、ぜひお読みください。この時代の精神医療と向き合う上で、知っておくべき事が書かれている良い本でした。

hyogokurumi.hatenablog.com