HyogoKurumi.Scribble

私はこの社会が省略した事柄を言語化している人です。

【虫の知らせ】中学生の頃、おばあちゃんの幽霊に触った話【ガチ注意】

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 雨の頻度も落ちてきた。じめじめとした日ももうすぐ終わる。夏が始まろうとしている。
 夏といえば、海、甲子園、冷やし中華……と、楽しくて美味しい話題で賑わう季節なんだけど、私は毎年この季節になると、ある心霊体験を思い出す。

 中学生の頃、おばあちゃんが死んだ時の話だ。


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 中学一年生の時だった。それは確かだが、はて、季節は夏だったかな? あの時の私は夏服を着ていたような気がする。いや、毎年夏にこの話を誰かにしているから、夏の出来事だと思うようになったのかもしれない。

 深夜だったと思う。ふと目が覚めた。それは自分にとって珍しい事だった。その頃の自分は寝付くのに、いつも2時間くらいかかっていたが、一旦寝ると、起こされない限り昼まで寝てるような奴だったから。

――なんで目が覚めちゃったんだろう?

 寝ぼけ眼をこすりながら、そんな事を思いつつ、隣の部屋を見た。向こうから、父、母、弟が寝ている。それはいつもの光景だ。その頃の我が家はそうして布団を並べて寝るのがいつものスタイルだった。

 ただのその日はいつもと違った。


 弟と俺の間に、知らない人がいた。


――誰だこの人は?

 はっきりしない意識の中で私はそう思った。

 父と母と、弟と俺。うちは4人家族だ。

――5人? あれ?……。


 俺と弟との間に、白い着物をきたおばあさんが寝ている。

 白髪、窪んだまぶた、痩せこけた頬、薄紫の唇……その人からは、生気というものが感じられなかった。

 が、その謎のおばあさんについてそれ以上、深く考えることはなかった。

――誰だこの人?

 そう思いながら私は、そのおばあさんの鼻の頭にちょん、と触った。
 触った感触に別段、記憶に残ることはなかった。普通に人の鼻に触った感じだった。

――あ~、いるいる、ここにいる人だ……。

 そんな風に思った直後、私はまた布団を被りなおして眠りに落ちた。

 この行動が本当に自分の意思だったのか、あまり自信がない。半分寝ていたような状態だったのは確かだと思う。


翌朝――
 
 起床した私は真っ先に、その深夜の出来事を思い出した。夢だったのかもしれないけど、妙にリアルだった。朝はいつも母と弟と朝ごはんを食べるから、笑い話のつもりで言ってみようと思っていた。

 でも、その話をする機会はなかった。母が大慌てで出かける支度をしているのだ。いつもと様子が違った。

 嫌そうに支度をしている母の傍で、父が「落ち着けよ。大丈夫か?」と声をかけていた。

 母は返事しなかったけど、うん、うんと頷いていた気がする。

 私は言った。

「おばあちゃん死んだの?」

 すると母の動きがぴたりと止まった。そしてゆっくりとこちらをみて、怒るように言った。

「お前なんで知っとんのや!」

 私は言い返した。

「昨日寝てる時、俺と○○(弟の名前)の間に、誰かおった」

 母は私の事を訝しむような顔で見つつも、こう聞いた。

「……お前見たんか?」

 私は「うん、見た」と返事した。

 母は少し黙ったあと、「わかった」と言って支度を再開した。


 私はそのあといつも通り学校に登校した。
 朝の出来事なんてわりとすぐに記憶から消えたと思う。なぜなら、私の家族は日常的に夫婦喧嘩をしていたし、朝の出来事だって“また大きな声で母がなにか言っていた”程度の事でしかなかった。

 でも帰宅途中に事態は一変した。下校中、向こうから一台の車が近づいてきて、クラクションを鳴らされた。よくみるとそれはうちの車で、運転していたのは父だった。

 父は窓を開け、車の中から私に言った。

「ばっさ(おばあちゃんのこと)が死んだから、うん……お前、寄り道せずに早く帰って来いよ。お葬式や」

 私は記憶から消えかけていた朝と深夜の事を思い出した。だから、あの出来事がまだ続いていた事に驚いて、通学用のバッグを落としてしまった。


 ここから葬式当日までの記憶はあまりない。母から何度か「お前本当に(深夜に)ばっさ見たのか?」と聞かれたと思う。

 葬式当日は軽いパニックが起きかけていた。

 親戚の皆が、ばっさを見たと話すからだ。

親戚A「うちの子が、鏡の中に誰かおったって」

親戚B「俺も夜、見たんや……」

親戚C「うちも……」


 触ったというのは私だけだったが、なんらかのシチュエーションでおばあちゃんをみたという人が何人もいた。

 私は「虫の知らせ」って本当にあるんだと思った。

 不思議な出来事だった。

 そうして日は過ぎていった。

 でも、この話はまだ終わらなかった。


 それから49日が経った頃だったか、お盆の時だったか。

 私の中でおばあちゃんが死んだ事や、葬式をした事が少しずつ風化し始めた頃、母の頬に擦り傷をみつけた。

 別に深い意味はなかった。“あ、怪我してる”と思って、頬を指さして、何の気なしに「そのキズどうしたん?」と聞いた。

 母は最初、頬を指で触りながら記憶を辿るような表情を浮かべた。頭の上に「?」が浮かんでいるのがわかった。

 少ししてから、深いため息をついた。口に出していなかったが、「……あ れ か!」と声を大にして叫んだ事が伝わった。

 それから母は少しずつ語り始めた。

・葬式の出棺の時、最後におばあちゃんの頬に触れようとしたこと
・それを親戚の人から止められたこと
・「触ったら、あとで触られに来るよ」と注意を受けたこと
・よくない事だと思い、触るのをやめたこと
・その時、親戚の人が静止の為に、自分の腕を掴んだこと
・その反動で、自分の爪がおばあちゃんの頬にひっかく感じで当たってしまったこと


 話を聞いて、流石の私も驚いた。

 ばっさ、まじで触りに来たんだ! と――


 私は巷で語られている幽霊像や死後の世界説は信じていない。エロイ話を聞かないからだ。心霊写真や心霊動画だって作りものだと思っている。でも一応、死んでも何かあるという点だけは信じている。

 私がおばあちゃんの幽霊?を見たあの夜までのエピソードを、私が知っている範囲、聞いた範囲で話そう。

 と言っても、私が知っているのは、"おばあちゃんと連絡がとれない"という話を母がしていたという事だけだ。それが、幽霊を見た夜の、一ヶ月ほど前のことだったかな。

 でもほとんど記憶にも残らないエピソードだった。だって、おばあちゃんはどこかフリーダムなところがあって、急に旅行に出かけたり、何時間も歩いて自分の子供の家を尋ねに来るような人だったから、連絡がとれないというだけでは、特に危機感はなかったのだ。どうせまたどこかふらふらしてるんだろと、それくらいに思っただけだった。ちなみに当時、携帯電話はまだ一般には普及していない。

 それから母は何度も電話をかけたり、アパートの家にも行ったらしい。あとで聞いた話だが、家の鍵は開けっ放しで、預金通帳などが置いてあったという。

 事態が急変したのは、私が幽霊を見た晩の翌朝だった。母が朝、朝食をとりながら新聞を読んでいると、小さな記事が目に留まったという。港で女性の遺体発見というまぁよくある内容だったが念の為に読んでみると、そこに綴られていた遺体や所持品の特徴から、おばあちゃんを大きく連想できたのだという。

 で、まさかまさかと思いながら支度をしていたところに、問題の発言が飛んできたのだ。そう、私の「おばあちゃん死んだの?」である。

 相当、驚いただろう。だって別にそれまで、"おばあちゃんが死んでいるかもしれない"なんて話をした事はないからだ。

 “前々から死んでいる可能性を考えていたから、幽霊みたいな幻覚を思い込みで見たのでは?”と思っている人に言っておくと、全くそういうことではない。何もかもが急で突然だったのだ。

 おばあちゃんは名古屋港の海で死んだらしい。港から沖に向かう船が、ブイにひっかかっている女性をみつけたというのだ。

 その現場にあたる港は、職場までの道中の範囲だから、足を滑らせて落ちたのではないか?と考えられた。あと、自宅のアパートにも盗まれた金品などはなかったので、事故という形で処理された。

 おばあちゃんの話はここでおしまい。如何だったでしょう。別に怖い話ではなかったと思う。

 おばあちゃんを見たというのも子供ばかりだった気がする。最後に会いに来たのかもね。

 どうせなら、もう少し心臓に優しい方法で会いに来てほしい(笑


 おばあちゃんの幽霊?をみたのはこれで最後なんだけど、十数年後も私は別の形で、虫の知らせを感じた事がある。

 尊敬していた職場の先輩が、事故で亡くなった時だ。

 朝起きたら、部屋の中に暖かい存在がいた。ぼやけてよくみえなかったから、姿形はわからなかったけど、身近な人が誰か死んだという事はわかった。

 そして、自分の事を大切に想っている人だということもわかった。

 たしか職場に行く道中に、友達にも連絡をしたのを覚えている。なんでもないメールだったけど生存確認の為だった。

 職場に着いても、私はその事が気がかりで仕事はほとんど手につかなかった。

 ――今日、もしかしたらここに誰かが来ないかもしれない――

 その予感は当たってしまった。先輩が来なかったのだ。

 先輩の事故死を告げられたのは、先輩の両親の意向の関係で、一ヶ月以上も経ってからだった。


 私は"虫の知らせ"を2度体験している。

 あの感覚を言葉で言い表すと、“あの人が死んだ"という"記憶"が"突然でき上がる”、という感じだ。

 頭の中で死んだ事になっていて、記憶はそれを受け入れているのに、自分の気持ちだけがまだ、唐突な事に驚いている……そんな不思議な感覚である。

 もし貴方がこれからの日常の中で、そんな感覚を突然覚えたら、まず落ち着いて、そして、大切な人に連絡をとってみてほしい。

 もしかしたら最後の時に間に合う事があるかもしれないと、私はなんとなく、そう思っている。