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HyogoKurumi.Scribble

私はこの社会が省略した事柄を言語化している人です。

『絶歌』読書感想文:その3――神戸連続児童殺傷事件の元少年Aは発達障害なのか?

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hyogokurumi.hatenablog.com


 前回から三ヵ月の少々、まただいぶ経ってしまった。前回書いた時からいろいろありすぎて、生活の方がまだ無茶苦茶な状態なのだが、リハリビも兼ねて書いてみようと思う。

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生きるよすが
 18p~23p


 最初に「生きるよすが」という言葉の意味がピンとこなかったので辞書で調べてみた。「心の支え」とか「拠り所」とかそんな感じに受け止めておけばいいようだ。

 この節は留置所生活での事が綴られている。始めに朝と夕方に独房を出た先にある洗面所で顔を洗う際の心境が書かれている。背後に係官の気配を感じながら十五分以内に洗顔と歯磨きを済ませる行為の事を「凶行」と表現していた。その後、鏡を見る事が億劫だった事を明かしている、自分の顔がプレデターに出てくるクリーチャーのように醜い姿に変貌する様子が視えたらしい。口の周りの皮膚がガバッと開くなどと詳しく書かれている。文脈からして自己診断なのだろうが、その症状の事を精神医学でいう「醜形恐怖」(デスモノフォビア)だと考えていたようだ。これらの症状は留置所にいる間ずっと続いたらしい。
 この部分の記述の最後は入浴時に渡されるカミソリも断った旨が書かれているので、相当嫌な思いをしていたことが窺える。

 さて、本当にそんな症状に陥ったのだろうか。自分の顔を見るとそういうイメージが連想で来た程度で、視界情報には変化がなかったのでは、それも認識できていたのでは、と私は考える。書かれている通りの事が起きていたとしても文章からは説得力やリアリティが感じ取れなかった。

 その後は、昼食後の運動の際に声をかけてきた係官や、独房に差し入れをしてくれた他の係官とのコミュニケーションに関することが書かれている。

「ええか、坊主。おまえ がどない思とるかはしらんけどな、わしらは取調官とはちゃうねんぞ。おまえを懲らしめようとしとるわけやない。おまえの世話係や。おまえの身体を心配しとるだけなんや――

 優しくフレンドリーに話しかけてくる係官たちの感情が、彼には屈辱だったようだ。

 僕も彼らのように人々から恐れられたかった。怪物と呼ばれたかった。


 この節では、係官たちの動作が淡々と、まるで昆虫観察のように綴られていた。
 

 次節は『池』。


暗い森―神戸連続児童殺傷事件

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絶歌

絶歌


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