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2013年原付カブの旅 第七話「帰り道 前半戦」

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帰り道 前半戦

 朝7時半に起床。6時半に鳴ったスマホのアラームをねぼけたまま止めたのは覚えている。眠すぎて起きられなかった。
 正直まだまだ眠かったがもう出発しなければならない。静かに慌しく、自分の荷物をまとめて担いだ。ちなみに荷物は友人宅で分けてもらったゴミ袋に突っ込んだ。これならまとめて担げるし、袋の口を塞いでバイクに積み込めば万一の箱破損時にも防水になる。
 眠い目をこすりながら玄関まで見送りに来てくれた奥さんに感謝を述べて友人宅を出た。

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 地元にいる間、少し走らせたので距離メーターは14625.4kmからスタート。

 雨は降っていなかったが、空はどんよりと曇っていた。この日、東海地方は日中ずっと雨の予報だった。今はたまたま雨の切れ目にいるだけで、そのうち降ってくることは感じ取れた。
 走り出してもまだ目がしぱしぱしたので、すぐ近くのコンビニに寄って二日酔いに効くらしいソルマックとチョコレートを買って食べた。胃を動かしたのが良かったのか、それで目を覚ます事ができた。

 そして再出発。信号の数が少ないぞと、友人に勧めてもらった名四国道を通って快調なペースで名古屋市へ。
 名古屋市の南区に入るまでは何本か橋を通るが、原付では通れない橋の時だけ迂回した。それを除けば基本は道なりに走ればいいだけだった。
 ここからしばらくはまた行きと同じ国道1号線に乗るのだが、豊川市の辺りから新ルートに乗る。

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 画像が帰りのルートだ。行きは浜名湖南側の弁天島を通ったが、帰りはこのように浜名湖北側を通っている。これはGoogleMapで〝徒歩ルート〟で検索した道なのである。
 自動車ルートだと原付では通れない道まで候補に挙げてしまうし、バイパスやら国道といった大きな道路ばかりで走り難い。それならいっそ、徒歩ルートの下道をいけばいいんじゃないかと考えたのだ。

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 港区の名古屋港シートレイランドの観覧車が見えたところで、雨が降ってきたのでレインコートを着た。
 いよいよ雨が始まる。ここから行き以上の苦行になることを覚悟した。雨の移動は疲労が倍になる。それは放浪旅の時に経験済みだった。
 俺はレインコートを着て雨に備えた。走り始めてすぐ名古屋高速の高架の下道に入ったが、左斜線の道路端の範囲は普通に雨が降って来た。もうちょっと右だったら高架が防いでくれたのになぁと思った。その道を南下する流れで国道一号線にのった。
 雨の強さは、止み~傘がいらないレベル~並の勢い、が不定期に入れ替わった。
 フルフェイスヘルメットではなくただのハーフヘルメットだから雨がばしばしと眼鏡と顔にあたった。信号待ちの間に眼鏡を拭いてまた走らせる。ヘルメットは見た目でハーフタイプにしたんだけど、この時ばかりはフルフェイスタイプを買うべきだったと後悔した。事故した時の死亡率も気になった。
 前が見えない程のどしゃぶりになったらどうしよう。そんな不安を抱えながら俺はバイクを走らせた。
 今日一日、雨の中を走るのであろう自分に「頑張れ」と声をかけた。午前中から『頑張れコール』を出さざるを得なかった。

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 日差しがなく、日焼けで痛んだ足を冷やしながら走ることができたことは不幸中の幸いなのかもしれない。ただ、右足の患部の皮膚の色は不自然に黒く変色していた。帰宅したら絶対に医者に診せなければならない、そんな予感がした。  写真はコンビニでラップを買って巻きなおしたところ。
 化膿止めの薬はまだ買ってなかったので、そこからしばらく走った先にあったドラッグストアで購入した。
 一応、患部を見せて、地元のドラッグストアの店員に言われた話を伝えた。現状できる範囲での処置としては納得だったようだ。ただ、勿論十分な処置とはいえないので、帰ったら必ず病院へ行くように念を押された。

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 シールで隠れちゃってるけどこれがドルマイシン軟膏。ちゃんとした薬を塗れたお陰か、だいぶ気が楽になった。自分は思っていた以上に足の事を気にしていたらしい。
 時刻は12時。場所はもう少しで豊川市。出発から3時間半ちょいで65km近く走っている。順調か? 順調だろ。
 行きの時は半日かかったエリアだ。あの日の灼熱地獄の時とは比べ物にならないほど快調なペースで進んでいる。名古屋市を抜けた辺りから交通量は激減、少なくとも車の列に巻き込まれて交差点以外で速度を緩める必要もなくなった。これは雨のお陰だった。あの日は凍結ドリンクを何度も買ったけど、この日はまだ1本目をほとんど飲んでいない状態だった。休憩の頻度も抑えられているのだ。

豊川市突入

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 豊川市に入った。ここからコースが変更になる。
 画像では丁度1号線の標識があるところで、東海道から道をそれているのがわかるだろうか。県道5号線の『姫街道』に入り、しばらく進むと国道362号線にのるルートである。
 どんなルートなのかと自分もどきどきしながら走ってみたわけだが、田んぼ+町といった風景が永遠と続くルートだと思ってくれればいい。
 車は想定どおり、ほとんど走っていなかった。行きの失敗を一つ攻略できたことに俺は喜んだ。
 高い建物もないのでそれなりに景色を楽しみながら走ることができた。

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 そのまま道なりに進み、しばらく走った先で『本坂トンネル』を通った。
 バイパスの途中にあるトンネルは車の往来が怖かったが、ここでは自分が一台走っていただけなので落ち着いて通り抜けることができた。
 トンネルを抜けた先はしばらくなだらかな下りが続き、その後は山を背景に構えた静かな街と浜名湖が広がっていた。

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 ここらを走ってる時、雨はほとんど降っていなかった。走り易いのは良かったんだけど、せっかくの浜名湖の景色は曇り空のせいで薄汚く見えた。
 14時半を過ぎ、浜名湖エリアを越えてからは少しずつ建物が増えていった。マップを見た限り、ここからは今日のゴールのネカフェまでひたすら街中を走るだけのように思えたのだが、ほぼその通りだった。
 ナビ画面のルート上では真っ直ぐに見えても、その場所まで行くと実は右折だったり左折だったりして、道を間違えたりすることもあった。少しでも道に違和感を感じたら止まってナビを確認。所詮、原付とはいってもバイクなので、もし道を間違えたまま走り続けたらたったの数分走っただけでもえらい距離になってしまう。
 コンビニで休んでいる間もやることは主にルートの確認である。渡れると思った橋がもしかしちゃら原付不可かもしれないので代替ルートも目星をつけながら走った。特に大きな川の橋を渡る時は標識に気をつけなければならない。

 そんなわけで、浜松市の先にある磐田市袋井市ではルートの選別に苦戦を強いられた。強い雨に打たれていた時間も多く、俺はへとへとになってとあるコンビニでバイクを停めた。
 時刻はもうすぐ17時になろうとしていた。現在位置確認の時以外はほぼ走りっぱなしだったのでかなりの疲労が蓄積されていた。
 疲れすぎて、何かを食べようとかそんな気にもなれなかった。
 地図を見るとまだ半分といったところだった。これからどんどん暗くなる。もしかしたらまた日付を越えるよな時間になるのかもしれない。そんなことを考えていたら、雨が一気に強くなった。

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 バケツをひっくりかえしたような雨だった。休憩中でほんとに良かったと思った。
 この鬼雨が降っていたのは10分くらいだったと思う。 
 アプリで雨雲レーダーを見る限り、この雨雲が尻尾の部分に見えた。
 俺は雨が弱まった時を見計らって再出発した。

 そして、それから20分程走った時……。

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 雨があがった! 晴れた! 雨ゾーンが終わったんだー!
 箱根峠で町の明かりが見えた時くらい嬉しかった。今日一日で最も危険な雨タイムを無事乗り切ったのである。

 俺は適当な駐車場でレインコートを脱いで、とりあえずこの先にある『道の駅 掛川』を目指すことにした。

道の駅掛川

 18時、俺は『道の駅 掛川』に着いた。
 これからどんどん暗くなることを考え、一旦エネルギーを補給しておくことにしたのだ。

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 注文したのは「肉うどん」(480円)。
 行きの時は飯どころじゃなくて何も食えなかったけど、帰りはちゃんと食えた。
 想定よりも遅れ気味だけど行きの時ほど深刻じゃない。
 ちゅるちゅるとうどんを吸いながら俺は嫁に電話をかけた。
 自分の無事と、ちゃんと飯を食ったことを報告した。

 本当は行きも帰りも、てきとうに寄り道をして、道中の名物なんかをを食べながら移動するはずだった。
 でも現実はこれ、サービスエリアでうどんをすするのが限界だ。これが今の俺の限界。
 それでも、こうしてうどんを食えたことは大きな進歩だと思った。
 もしまた何も考えずに行きと同じ1号線を選んでいたら、ここで飯を食ってる余裕はなかったと思う。
 汁もうどんの麺も、手作りではない食感だったが、今の俺には十分なものだった。美味しかった。

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 うどんを食い終えた俺は再出発した。
 出発直後、視界の先にあった山から雲のような煙が噴出していた。不思議な光景が見れた。

 放浪旅の時は歩いて通った道をカブで走りぬけ、途中から『日坂バイパス』の側道を走った。
 これが酷い道だった。アスファルトの道路なのだが……。
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 全く整備されていないようだった。誰も使ってない道、そうとしか思えなかった。
 途中で不安になって、バイクを止めてナビを見ていたら、どこから登ってきたのか、体長3cmくらいの細い蜘蛛がヘルメットから顔面を這いずり回ってきた。
 俺は小さな悲鳴をあげて、蜘蛛を振り払って、逃げるようにバイクを走らせた。

 さらい進んだその先で、俺は道がわからなくなってしまった。
 ただの側道でどうしてそんなことになってしまったのかというと、ナビの示す道がみつけられなかったからである。

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 ※Googleストリートビューで見たい人はコチラへ ⇒ http://goo.gl/maps/UjSj4

 いまこの記事を書いている時に調べてわかったのだが、上記の画像の道だったようだ……、いや、無理無理。どっちにしろ走れないって。

女性の声が……

 ナビの示す道がわからず、そのまま道なりに進んでいた時だった。
 どこからともなく人の声がした。女性の声のように聞こえた。「……です」って言われた気がした。

 背筋がゾクっとした。

 こんな薄暗い林道で、なぜ女の声が?
 俺は近くの草むらに注意を払った、もしかしたら女性のホームレスとかいて、こっちに声を掛けて来たのかもしれない。
 いや、もしかしたらちょっと気の毒な人がいて、俺の荷物とか財布とか肉体とか、狙ってるのかもしれない。

 またしばらく進む。
 やっぱり道がおかしいと思う。
 そうしてバイクを止めた時だった。

「ゆーたーんです」

 今度こそはっきり聞こえた。ゆーた……Uターンだぁ?

 犯人はスマホの『GoogleMaps』アプリだった。どうやらこいつには音声ナビ機能があって、俺はなんかの拍子にその機能のONにしていたらしい。
 めっちゃ怖かったです……。

 ただ、結局道はわからずじまいだったので、仕方なく真下を走るバイパスを使うことした。
 この日はずっと下道を走ってきたせいか、バイパスの道路が行きの時よりも怖く感じた。こんな道路、原付で使っちゃいけないんだ。

 日坂バイパスの後は富士市の方にある富士由比バイパスにのるまでずっと下道を走る。途中にある藤枝バイパスと静清バイパスは原付不可なので間違えて乗らないように注意をする。
 もうすっかり暗くなってしまったが、まだ70km弱はあった。時刻はもうすぐ19時になろうとしていた。
 俺は23時までに到着する事を目標にした。

 夜の藤枝市の街中を突っ走った。
 ここまで来たら考えることは一つだけだった。
『無事に到着すること』
 急がなくていい、ゆっくりと確実に向かえばいいのだ。

 夜の街中を走っていても特に楽しいことはなにもない。しいていうならパトカーが怖い。
 ただ、街の明かりや人の存在が近くにあるので、とても安心感があった。

夜の街

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 21時20分頃、俺は海の近くまで来ていた。あとの難関は富士由比バイパスだけだ。
 通れそうな下道を探してバイパスを避けることも考えたが、地図からではよくわからないし、万一行き止まりで大きく戻ることにでもなったら致命的な遅れになる。

 この時間のバイパスの交通量は半端ではなかった。外灯も十分とは思えなかった。もしいま原付のテールライトが壊れて消灯したら俺の姿は闇に消される。確実に轢かれるなぁ、なんて思いながら車道の隅っこをそろそろと走った。幸い、路側帯はあったのでトラックが来るたびに回避することで安全に突破することが出来た。

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 22時38分。ようやく富士市に突入。
 そして、目的地のネカフェに着いたのが22時56分。
 ギリギリだったが、目標通りなんとか23時までに着くことができた。

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 14867.4km。地元出発時が14625.4km。
 今日一日で242km走行したことになる。
 GoogleMapで実家の最寄り駅からここまでを徒歩ルートで検索すると225kmと出るので、原付で走るなら+30kmくらいで考えたほうがいいとみた。

 この日はシャワーを浴び、部屋に戻ってからは寝るだけだったんだけど、雨の中走ったので念のため家から持参してきた風邪薬を飲むことにした。薬だけ腹に入れるのもよくないので、夜食にポテトとウィンナーのセットを食べてから飲んだ。

 風邪薬に睡眠導入成分のお陰か、この日はぐっすりと眠る事ができたのだった。


◆買物履歴 8月25日
 ・10:22 コンビニ ラップ 198円
 ・12:07 ドラッグストア ドルマイシン軟膏 600円
 ・17:49 道の駅掛川 肉うどん 480円

 ・12:26 GS レギュラー 0.97L 150円
 ・17:07 GS レギュラー 0.89L 139円
 ・20:17 GS レギュラー 0.69L 108円

 ・05:35 ネカフェ ナイトパック 1980円(食事+シャワー代込)



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