HyogoKurumi.Scribble

私はこの社会が省略した事柄を言語化している人です。

【褒めた?】一郎さんの気持ちについて、私的解釈【怒った?】

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 ちょっと前に、ツイッターでこのクイズに関する回答を集めてみました。

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 これは心の理論に関するクイズで、自閉症発達障害の考え方を説明する際に用いられることがあります。私は10年程前に発達障害のことをネットで調べていた時に、どこかのサイトで知りました。最近は見なくなりましたが、当時は関連サイトでよく紹介されていたと思います。

 この類のクイズでは「サリーとアンのテスト」が有名なのですが、私はこのレストランのクイズが一番胸に刺さったので気に入っています。

 回答にはツイッターの投票機能を利用し、およそ1400票という結構な人数が参加してくださいました。

 今回の記事では、このクイズの私的解釈の話をしようと思います。

答えは3即答である

  先に模範解答から言います。このクイズは(3)「ボーイさんの態度に腹を立てた」一択であり、即答で答えられるクイズです。(1)(2)で答える理由はありません。

 このクイズは「お店で30分もほったらかしにされた客の気持ち」が答えです。しかし回答方法は(1)~(3)の中から選ぶことになっているので、それに該当する(3)が答えとなるのです。つまり、一郎さんの人物像や、実際に30分も待たされた状況など、リアルな部分を考慮する必要はないのです。単純に、30分もほったらかしにされた客の気持ちを答えられるかどうかを見るクイズなのです。

名前について

 まず最初に、「一郎と花子」という名前から、特異のない凡人がイメージできていなければなりません。「一郎と花子」は太郎と並んで書類などの「記入例」として一般的に用いられる名前であり、山田太郎やジョンスミスに相当する「普通の人を想定してね」という、記号なのですだからこのクイズは名前の時点で、「普通はこう考える、で回答すればよい方針」が暗に示されているのです。

状況について

 次に、30分くらい待たされたことについてです。

 元飲食店店員からの意見ですが、通常、時間がかかる際は、入店時に混みあっている為にお料理を出すまでに時間がかかるなどのお断りがあるものです。その上で入店された場合、個人店だと難しい場合もありますが、時間がかかるとしても注文だけは先にとっておくものだと私は思います。他のお客様のお料理と一緒に作れる場合があるからです。

 このクイズの場合、一郎さんと花子さんは30分も待たされたようです。「ところがレストランは人でいっぱい、なかなかボーイさんが注文を取りにきません。三十分くらい待たされてやっと……」という文章から、時間がかかることについてお断りがなかったと考えられます。ただ、この文章は他のことも示しています。

 まず、30分も待たされたということについてだけしか書かれていません。お断りがあったの? 水とおしぼりは? 途中でボーイを呼ばなかったの? など、そういったことが書かれておらず、これだけでは詳細がわかりません。待たされて、その上で、やっと注文を取りにきたボーイの態度が悪かった、という情報しかありません。

 これが小説かなにかの文章であればただの情報不足ですが、これは「30分も待たされた上に態度の悪い接客を受けたという、それだけの設定で考えてくれればいい」というクイズの主旨を示しているということです。

 もし正解を言い当てる為に空白の30分間について理解する必要があるとすれば、クイズとして成立していない、回答者に対してフェアではないと指摘できます。何も書かれていないからです。

 逆に、その書かれていないことに関する情報を持ち出して考えることは、クイズに対してフェアではない、と言えるのです。それはクイズの不出来に対して難癖をつけているにすぎません。

 だから、実際を想定した状況を考える必要はないのです。

言葉について

 ここまでの主旨がわかっていれば、「さすがは高級レストランだね」と言った一郎さんの気持ちは簡単にわかるかと思います。褒めたり感心するということはありえません。とても不愉快になっているので回答は「3」であり、「3」しかありえないのです。

 「さすがは~だね」という言葉だけをみれば、褒めているように読み取れます。しかし私たちはクイズの問題文を通して、一郎さんの内心を知っています。本当は、不愉快なわけです。

 このように、遠回しに相手を非難する言葉を「皮肉」と言います。多くの場合、事情を知らなければこの一郎さんの言葉のように、褒めたり認めたりしたように思える言い方が用いられます。

花子さんについて

 花子さんがいなくてもこのクイズは成立すると思うのですが、花子さんという女性がいるので、その場でクレームをつけることが憚られた、だから皮肉めいた言い方になった、一郎さんがボーイにその一言を言う理由の根拠になった、などと想像することもできます。

 花子さんが家族なのか恋人なのか友人なのかは不明ですが、恋人かな?と思います。 

みんなの回答

 ではみんなの回答を読んでみましょう。

 特に(1)か(2)を選んだ人の意見に注目です。

 (1)か(2)を選択した人の意見を読んでいると、クイズ全体の問題文の情報、特に「ところがレストランは人でいっぱい、なかなかボーイさんが注文を取りにきません。三十分くらい待たされてやっと……」の部分を、無視して考えているように読めますね。

 ここは三人称視点で書かれた「一郎の心境」であり、このクイズは「一郎は不愉快になった」ということを前提に考える必要があります。このクイズに対する回答姿勢という点から間違いとなりますし、難癖をつけていることになってしまうのです。

 ツイッターの投票の結果もこの通りです。ほとんどの方が「3」を選びました。

10年前の私の回答について

  初めてこのクイズをやった時は発達障害のことについて知ったばかりで、診察すら受けていない状況でした。グレーゾーンという境遇です。

 私もまず(3)を真っ先に除外しました。理由は、(3)が正解であると選択することが、人のことについて考える上で、よくない姿勢だからです。(3)は、一郎さんが不愉快になった気持ちを表しています。これを一郎さんの気持ちだとして選ぶことは、一郎さんに対する否定であり、人が人を判断する時の望ましい姿勢から反することになるから、(3)を選ぶと間違いになる、という解釈です。

 まだ伝わっていない人もいるかと思いますので、今度は例え話をしますね。ここに相手(誰か)の写真が3枚あるとして、そのうち2枚が普通、1枚が不細工に写っていたとします。相手の顔はどれですか?と聞いて、わざわざ不細工な写真を選びますか?

 おや、貴方の隣の人が、どうみても不細工に写っている写真を選びました。貴方はその人に対してどういう印象を持ちますか?

  では、話を戻しましょう。(3)を選ぶということは、一郎が腹を立てているタイミングを指して、これが一郎だとして回答することになるのです。「不愉快になっている時」という、他者の目から見て、どうしても良い印象では映りにくい、悪いタイミングを指して、これがこの人であると言うわけです。

 それは当時の私の感覚からいって、ありえないことでした。頭の中では「心無い考え方」に分類されていました。

 で、その後で、(1)か(2)のどちらになるかを考えました。考えるために、問題文を何度も読み返しました。しかし、どう読んでも褒めたり感心したといえる情報が見当たりませんでした。でも答えとして(3)はありえず、(1)か(2)のどちらかしかないのですから、そのまま一時間くらい考え続けていました。考え続けていたといっても、一郎さんがボーイに「さすがは~だね」と言った状況を映像としてイメージしては、ただただその状況に違和感を感じるばかりでした。

 つまり、クイズの問題文は全く検討事項に入っていなかったということです。

 (1)か(2)を選んでしまう人の心理の一例として、これはよくあるほうだと私は思います。

まとめ

 初めてこのクイズをやった時、結局(1)(2)のどちらかを選ぶことができなかった私は、解説部分を読みました。そして驚愕しました。普通は(3)だと書いてあるではないですか。そして解説部分を読んで、一郎さんが不愉快になっていることを軸として考えるクイズであることをやっと理解しました。

 同時に、小学生の頃から国語のテストで、読解問題が全く理解できなかったことを思い出しました。問題の主旨や意味が理解できていなかったのです。

  人間的な個性という観点からいえば、別に(1)と(2)でも間違いではありません。好きに生きてください(笑) でも、このクイズの中では不適当な回答となりますし、現実社会では、生き辛さを感じたり、周囲を困らせてしまうこともあるかと思います。

 このクイズは自閉症発達障害といった、障害界隈だけで活用するのではなく、もっと広く、一般論や他者との関わり方についての感覚の探る上で、題材にしやすいクイズだと思います。

 この記事で書いたことは私個人の解釈です。

 ぜひぜひ、ご家庭や職場など、周囲の人と一緒にやってみてくださいね。

  これから初めてのアルバイトをするという貴方の子供が、(1)(2)と答えたら、どう思いますか?

 接客をするお店を経営されている方、(1)(2)を大真面目に選んでしまう人を、雇えますか?