HyogoKurumi.Scribble

言葉は嘘をつきません

バイキングの発達障害の話が炎上している件について思ったこと――怪しい田舎と化した発達界隈

 先日、バイキングという番組で発達障害のことが伝えられたそうなのですが、その内容に問題があると、いまちょっとした炎上が起きています。

 私はその番組を見ていないのですが、まとめサイトで大体の内容を知ることができました。

 とりあえず、このまとめの内容が漏れなく適当であるとして話を進めます。障害とは無縁で、発達障害界隈のことをよく知らない人でもわかるようにお話しします。

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番組に対して思ったこと

 問題視されている部分は、福井県池田町立池田中学校で起きた、中学生の転落死事件を伝えるコーナーだったようです。自殺した生徒に発達障害疑惑があり、その流れで番組に出演していた教育評論家の石川幸夫という人が、発達障害についてコメントをしたようです。

 では、石川氏の話したことを、まとめの内容を参考にして並べてみましょう。

  1. 一般的に発達障害は先天的な脳の障害ってのも1つあります。
  2. 今問題なのは、その後の子育てや環境によって引き起こされるものが出てきた
  3. 原因はいくつかあるんですけど、小さい時に怒鳴りつける。それだけで脳が委縮してくる、これが発達障害に繋がってくる
  4. 脳の発達がそこで止まってくる
  5. アメリカの事例ですけど、食品添加物。これによって子供たちの多動性が増えてきた
  6. それが3割4割に達するのではないかと言われている

 これを読んで私が思ったのは、順々に説明しているということで、その内容については特に思うことはありません。ただ、発達障害に関する説明を挟むのはいいとして、この転落死事件の中でこういう新説染みた内容を伝える必要はなかったのではということです。大部分は定説だけで内容をまとめて、「最近では後天的に同じ特徴を抱える可能性についても研究が進んでいます」と、ちょっと付け加える程度でよかったのでは、と思います。このへんは実際の番組を見てないので、話の前後次第で印象がかわってきますけどね。

ネットの炎上をみて思ったこと

 ネットの炎上と言っても主にTwitterなんですが、はっきりいってげんなりとしました。「やっぱり、こうなるか」という気持ちですね。

 反応の声をよく見ていくとわかるんですが、「番組の内容に対する批判の声」と、「先天性説だけに固執する人からの声」が入り乱れているのが炎上の状況です。

 発達障害の人は、普通のことがわからなかったりできなかったりするので、世間的にも立場が弱くなっています。その点で、中途半端に伝えないでほしいという気持ちには私も賛同できます。

 ただそれってこういう媒体ではいつものことですし、そもそも発達障害のことを完璧に伝えるコーナーじゃなかったわけですから、目くじらを立てる必要はありませんね。

 で、「間違っている、でたらめだ、トンデモだ、発達障害は生まれつきだ、先天性だ」という声があるわけですが、これは全くをもって間違った意見であると、そう言わざるを得ません。

発達障害の定義について

 まず発達障害者支援法では、その定義内に「先天性」「生まれつき」という言葉は一つもでてきません。

定義

発達障害者支援法 - Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/発達障害者支援法

 厚生労働省側の定義も同様です。先天性だけに限定していません。

 日本での分類[編集]
厚生労働省ICD-10,DSM-IVのいずれかに含まれるもの全てを発達障害と定義している[26]。そして、これは先天的もしくは幼児期に疾患や外傷の後遺症により、発達に影響を及ぼしているものを指す。対して機能不全家族で育った児童が発達障害児と同様の行動パターンを見せる事がよくあるが、保護者から不良な養育を受けたことが理由の心理的な環境要因や教育が原因となったものは含めない。また、ある程度成長し、正常に発達したあとに、疾患・外傷により生じた後天的な脳の障害は発達障害とは呼ばれず、高次機能障害などと区別される。

発達障害 - Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/発達障害#.E6.97.A5.E6.9C.AC.E3.81.A7.E3.81.AE.E5.88.86.E9.A1.9E

 しかし、厚生労働省のサイト内には生まれつきである旨が書かれているページがいくつか存在します。

発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違っているために、幼児のうちから症状が現れ、通常の育児ではうまくいかないことがあります。成長するにつれ、自分自身のもつ不得手な部分に気づき、生きにくさを感じることがあるかもしれません。

(以下略)

発達障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html

○障害の予後についての誤解

発達障害は能力が欠如しているから、ずっと発達しない」
発達障害は一つの個性なので、配慮しないままでもそのうち何とかなる」
・ 発達障害は「先天的なハンディキャップなので、ずっと発達しない」のではなく、発達のしかたに生まれつき凸凹がある障害です。

(以下略)

厚生労働省:政策レポート(発達障害の理解のために)

http://www.mhlw.go.jp/seisaku/17.html

 文部科学省では、発達障害者支援法の定義を基準としている旨が公式サイトに記載されています。

特別支援教育について

発達障害とは

 発達障害とは、発達障害者支援法には自閉症アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害学習障害注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。

発達障害とは:文部科学省

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/hattatu.htm

 このように、"政府側では、発達障害者支援法(発達障害を先天性や生まれつきだけに限定していない)の定義を基準としているものの、その定義の解釈が曖昧で、脈絡なく生まれつき説が持ち出されている場面がある"、ということがわかるかと思います。

 で、肝心の医学的根拠なんですが、これだけ定説になっているにも関わらず、実は先天性説を決定づける明確な根拠は今のところありません。関連書籍を読むと生まれつきの可能性が示唆できる理由はちょこちょこっと書いてありますが、「そのような可能性も示唆できる」程度の厚みです。医療側からも積極的にそういう話をしているということは聞いたことありません。

 まぁ何と言いますか、先天性説というやつは、一つの考え方なんです。

 私は10年以上前、ネットの掲示板が主流だった時代から発達障害関連の情報は他の当事者との交流の中で追ってきたつもりですが、これまで一度も先天性説を決定づける情報を聞いたことはありませんし、見たこともありません/(^o^)\

 今回の記事を書くにあたってまた調べ直しましたが、やはり有力な情報は得られませんでした。むしろ、後天性の可能性を示唆する研究成果の情報で溢れています。

 発達障害=先天性説は恐らく、研究途中のその状態において、考え方として言える範囲の話と、子供の頃から違和感を感じていたという当事者や家族の証言、親の育て方に共通点が指摘できないといった話が混合され、当事者と支援者の拡大解釈により広まっていったものと考えられます。

 少なくとも、「先天性が定説にある事に加え、新説の話をした石川氏」と、「先天性だ、生まれつきだと言い切っちゃっている反応」、その点において、どっちが間違っているかは考えるまでもなく、後者の方達なんです。

 このように、バイキングの発達障害騒動は、「メディアが間違った情報を流布した」ではなく、「発達障害のことを先天性だけで考えている人が過剰に騒いでいる」が実態と言えるのです。

発達障害の原因について

 発達障害界隈ではその原因を巡って、年に何度かこういう騒ぎが起きています。原因がはっきりしない限り、この緊張状態はいつまでも続くんでしょうね。

 今回の記事では、発達障害の原因についてもちょっとだけ触れたいと思います。

発達障害×中毒

 ここ最近の私は「発達障害」を中毒症状の二次障害として考えています。こちらの記事の、特に前編の中でまとめてあるので、お暇な方はぜひお読みください。

 できればこちらの記事も。

 一言で言うと、この社会の中で人は皆、「言葉や意識の中毒」に陥り、その状態からの二次障害として発達障害精神障害がある、という見方の話です。

 この仮説なら、食べ物や親の育て方どころではなく、日本で生きていれば誰しもが発達障害特徴を抱える可能性があるという話を基準に、社会の仕組みを考えることができるようになるのです。

 今回の石川氏の話も、食べ物の中には中毒的になりやすくなる成分を保有しているものがありますから、十分に関連性があると言えますし、怒鳴るなどの大きな言葉は、怒られてしまうことに対する警戒心を植え付けますから、これも無関係とはいえないわけです。

 「親の育て方は関係ない」については、「虐待や愛情不足などの理想的ではない育て方」としての意味ではなく、「どんな育て方であっても発達障害を発症する可能性がある」という意味として、関係があると言えます。

 この日本で生きていれば必ず言葉の中毒に陥り、ケアレスミスやコミュ障などの発達障害者予備軍に加わるのです。

 

 これは私の体験から考えた話であって、後天性説を示唆する研究報告はネットで調べればいくらでもでてきます。

 もういい加減に発達障害に対する見方を変えるべきでしょう。それができるだけの情報は出揃っています。

 ちなみに脳萎縮と聞いてぎょっとした人もいるでしょうが、実は精神障害と中毒の方では以前より言われている現象のことで、別に発達障害の方で出てきても今更感しかありません。

精神障害 脳萎縮 - Google 検索

中毒 脳萎縮 - Google 検索

人生まではシェアできない

 発達障害に対する考え方って、未来の社会に求められる意識だと思わせてくれるところがあって、それが心の支えや強みになっていた一面があったのに、ほんといつからこんな、外からの情報を拒む怪しい田舎みたいになったんでしょうかね。

 発達障害の界隈は、ちゃんとした支援や理解が広がる為にも、先天性説だけが定説となっている今の状況をなんとかして変えていく必要があるわけで、今回のバイキングの件は中学生の事件を伝える内容の最中だったことを除けば、むしろ前向きに捉えられることだと思うんです。

 番組に対して批判している人たちの言葉で、よく目につくことが自分たちの立場の悪化です。家族や親せき、知人や周囲の人などから、「子供の発達障害は、親の育て方の問題だ」として厳しい当たり方をされたり、冷たい目で見られたりすることを危惧しているわけです。

 まぁ可哀相ですが、それはそれこれはこれ、ですし、育て方が悪いんじゃんと言って余計に苦しめてくる人と、先天性説だけに固執して他の可能性を否定する人、私に言わせれば、どっちもどっちですね。

 親戚、会社の同僚、知人友人、誰もいいです、周囲の人から「テレビで見たぞ。発達障害は育て方の問題らしいじゃないか」と言ってストレスを与えられたとします。

 それってテレビが悪いんですか?

 その相手と貴方の間だけの、人間ドラマでしょう。

 そのコミュニティ内で完結していることであって、他は関係ない。必要ならその人と話し合う、距離を置く、分かり合えないなら諦める、自分で自由に選択すればいいことです。

 なんでもシェアし合うネット社会ですが、人生までは他人とシェアできません。むしろそれを脅威と見て、自分の力で守らなければいけないことだと私は思っています。