発達障害考察ブログ HYOGOKURUMI.Scribble

言葉は嘘をつきません

夜行バスの人々(Kindle版)

あとがき 夜行バスの人々(Kindle版)

あとがき この作品のことを振り返って思うことはそれほど多くはない。大部分が執筆までの経緯と、書き上げた後に起きた変化のことだ。 なろう版夜行バスを書き終えてから、私は小説の文章力を上げる為に他の作品を書くことにした。 その上で目を付けた弱点が…

<十二> 夜行バスの人々(Kindle版)

前:<十一> 夜行バスの人々(Kindle版) <十二> 一夜明けた朝。大垣は一人、外のベンチで空を見上げながら煙草を吸っていた。喫煙所の個室の中ではなく、外の空気に当たりながら吸いたい気分だった。 百円ライターを持つ右手が少し痺れていた。前を向け…

<十一> 夜行バスの人々(Kindle版)

前:<十> 夜行バスの人々(KIndle版) <十一> 「だって……二人だって、この人のこと嫌いだったでしょ!」 吠える田辺を、東海林と赤井が必死に押さえ込んでいた。 「せやけど刺し殺したいほどじゃないわい!」 「とにかくそれ離せよ! 危ないって!」 そ…

<十> 夜行バスの人々(Kindle版)

前:<九> 夜行バスの人々(Kindle版) <十> 出発した大垣たち四人を待ち受けていたのは、雪と風だった。 「雪が強まってきましたね!」赤井が顔をかばいながら言った。少し大きな声で言ったのは、風の音にかき消されてしまうからだ。 大垣が言った。「皆…

<九> 夜行バスの人々(Kindle版)

前:<八> 夜行バスの人々(Kindle版) <九> 四角く並べられた客席テーブルに、事務室から持ち運ばれたホワイトボード。乗客たちが席に着くと、レストランには張り詰めた空気が漂い始めた。 全員が着席したところで大垣が言った。 「進行役を務めさせて頂…

<八> 夜行バスの人々(Kindle版)

前:<七> 夜行バスの人々(KIndle版) <八> アパートのチャイムを鳴らすと、すぐにドアが開いて高槻が出迎えてくれた。高校を卒業してから二年ぶりに会った彼の顔は、少し丸くなった気がした。一人暮らしのせいで、ちょっと太ってしまったのかもしれない…

<七> 夜行バスの人々(Kindle版)

前:<六> 夜行バスの人々(Kindle版) <七> 周囲の話し声で目を覚ました細田は、疲労の残りを感じつつも立ち上がり、屋外のトイレに向かった。レストランでは乗客たちが談笑したり、携帯電話やスマートフォンで黙々とネットをしていた。 歩きながら、ゆ…

<六> 夜行バスの人々(Kindle版)

前:<五> 夜行バスの人々(Kindle版) <六> 中学二年生だった難波は、夏休み中に考えて考え抜いた末、自殺をすることにした。学校でいじめられていた彼は、もう生きていくのが嫌になったのだ。 天窓から吊るしたロープに椅子、遺書――準備は整った。 あと…

<五> 夜行バスの人々(Kindle版)

前:<四> 夜行バスの人々(Kindle版) <五> 静まり返った暗い室内で、二人は壁を背にしゃがんで身を潜めていた。背広たちの声が聞こえなくなってから数分が経った。 難波が立ち上がって電気をつけた。「もう大丈夫だ」 「びっくりしましたね……」 静原は…

<四> 夜行バスの人々(Kindle版)

前:<三> 夜行バスの人々(Kindle版) <四> 建物の裏側には数台の乗用車やトラックが停まっていた。一見して、ここは従業員や業者が利用する駐車場だと考えられた。 外に出た難波は辺りを見回してから、すぐ脇にあったドアを開けてまた建物の中に入った…

<三> 夜行バスの人々(Kindle版)

前:<二> 夜行バスの人々(Kindle版) <三> 建物に入った乗客たちは、無人の状況に困惑しつつも、奥のレストランまで歩いた。そして各々が、適当な椅子に座った。 「……ほんとに、誰もいませんね」 ニット帽の女が周りを見ながら言った。背広の男の話を疑…

<二> 夜行バスの人々(Kindle版)

前:<一> 夜行バスの人々(Kindle版) <二> 新宿駅からほど近いその商業ビルの玄関付近では、夜行バスの係員が忙しなく受付に勤しんでいた。複数のバス会社がその場所を集合場所に指定していたことで、四〜五十人の利用客が集まっていた。足早に家路を急…

<一> 夜行バスの人々(Kindle版)

前:『夜行バスの人々』(Kindle版)掲載します。 <一> 背広を着た角刈りの男が土下座をしていた。 絨毯の上で重ねられた手の平は、甲の上から三本の釘が貫いていて、その傷口からは赤黒い血が滲み出ている。打ち付けられた釘の所為で、土下座のまま姿勢を…

はじめに 『夜行バスの人々』(Kindle版)掲載します。

本作は2012年頃に『小説家になろう』(https://syosetu.com/)にて連載していた下記「夜行バスの人々」という小説を再制作(リメイク)した作品です。AmazonのKindleでも販売していますが、出版から長期経過していることを考慮し、ブログ上で掲載することに…