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言葉は嘘をつきません

実体験から語る「多動力系NPO法人がうまくいかない理由」


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 NPO法人非営利団体という性質上、無報酬で社会奉仕活動を行うボランティア団体をイメージする人も少なくないと思いますが、NPO法人利益を分配してはいけないのであって、利益を追求した活動を行っても問題ありません。お給料も人件費という名目で、一般常識の範囲の額で支給することができます。

 つまり利益を上げることができれば、NPO法人で食っていくことができるのです。

 

 しかも認定NPO法人に成れれば、魅力的な税優遇を受けることができます。私は上手に説明できないので詳しくはググってほしいのですが、事業を起こす人の中にはこの税優遇を目当てに、NPO法人での起業を選択する人も少なくありません。

 

 さて本題へ。

 障害者界隈でも、NPO法人設立の動きが多数みられます。Twitterでもフォロワーになった障害当事者さんが、NPOの代表だったということがあるかと思います。

 それはとても良いことだと思うのですが、もし誘われて入ったNPOが、多動系の発達障害者が勢い任せでやろうとしている活動だった場合は、即抜けることをおすすめしますまず上手くいかない上に、活動自体がマルチ商法化するからです。

 

 話を進める前に『多動力』という用語について解説します。

 多動力とは一言で言うと『次々と興味対象が変わり、思いついたことを全て実現しようとする力』のことです。

 多動力は、証券取引法違反容疑で逮捕(懲役2年6カ月)されたことで有名なホリエモンこと堀江貴文の著書のタイトルですが、元々は発達障害の症状としてよく挙げられる「多動性」が由来の言葉だと思われます。

 常に落ち着きがなく、子供なんかは授業中徘徊をしてしまったり、興味対象が次々と移り変わっていく、そんな様子、というか障害の症状です。

 この多動性の特性を『起業や実業』という点に集約させたエネルギーが『多動力』です。

 

 その多動力をNPO法人で発揮すると、まずうまくいきません。私がそう考えた理由を実体験を基にしたオリジナルストーリーと解説をもってお伝えします、というのが今回の記事です。ぜひ最後までお読みください。

 

 

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はじめに

 まず登場人物の設定をします。

 首謀者はNPO法人で儲けることを思いついた多動系の男性をイメージしてください。以下、A男としましょう。

 A男は多動性が強めのADHDの診断を受けている発達障害者です。哲学や議論、ビジネストークに強い関心を持っています。自営業を営んでおり、家庭も持っています。

 今はファンディングサービスにはまっていて、ネットで話題の実業家をメインジョブとした妙に肩書きが多い人のニュースを常に追っています

 

 そして最初の被害者となる発達障害者を2人。B郎とC子とします。2人とも実家暮らしでアルバイトをしています。

 3人は発達障害のオフ会で知り合いました。その後も度々縁があり、一緒に居酒屋に行くなどして親しくなりました。

 

第1話「NPOやろうぜ! 目指せ認定NPO

 A男、B郎、C子の3人は、たまに会って居酒屋に行っては昔話で盛り上がる、どこにでもいるような発達仲間でした。

 そんなある日、A男が「一緒にNPOをやらないか?」とB郎とC子を誘いました。

 A男はNPOの儲けの仕組みの話をして、二人の関心を引きました。A男は発達障害者たちが好きな仕事で食っていけるようにする組織が作りたい」と考えているようでした。

 

 B郎とC子はNPOの事には詳しくなく、A男の話を聞くまで非営利団体だと思っていたので、利益を追求できることや、認定NPOの税優遇がすごいことや、給料ももらえることを知りませんでした。さすがA男だと思いながら話を聞いていました。

 活動理念の話も、それは常日頃から障害者たちの理想だと考えていたことでした。

 

 こうして、NPO活動の具体的な方向性の話しもそこそこに、3人は一致団結しました。

 B郎もC子も、ビジネス業界のニュースにも詳しいA男を頼もしく思っていました。早くアルバイトから抜け出したいと考えていたので、これをチャンスだと考えました。

 

親しい当事者仲間からの突然の誘い。貴方はこの段階で怪しいと思えますか? この第一段階で警戒できていないと、あとはずるずる~です。2011年に新寄付税制の改正によって認定NPOになる為の難易度がとても下がりました。そして攻略法が広まり始めた今、社会的実績や経験も持たない上に、軽い気持ちでNPO設立に手を付ける人が増えているのです。B郎もC子もそんなこと知る由もありませんでした。

 

第2話「もっとメンバーを集めよう!」

 後日3人はまた集まりました。記念すべき第一回のミーティングです。

 まず代表となるA男が「やりたいことを言い合おう」と言って、B郎もC子もできるできないは別として、やりたかったことを語りました。ミーティングはとても盛り上がりました。

 B郎とC子はNPO法人の設立の為に必要な、手続きや費用のことについて、A男に細かな質問をしました。

 しかしA男は、「知人の会計士に任せることになってる」とか、「専門家の友達に聞いてみるね」と言うばかりで、具体的な回答は次回のミーティングに持ち越されました。

 

 それよりも「やりたいこと」の話でした。活動が大きくなったら事務所のビルを構えようなどと将来設計の話も弾みました。

 

 話し合いが落ち着いた頃に現実的な部分の話も進めました。そこは「とにかく、早く認定NPOになる為に、もっとメンバーを増やす」という意見で一致しました。これが達成できなければNPOでやる意味がない、とさえ言えるからです。

 そして、賛助会員となるメンバーも今の段階から集めることになりました。3人は翌日から、発達オフ会等で知り合った顔見知りの当事者仲間に声を掛けました。

 

認定NPOになる為の条件の一つに「3000円以上の寄付金を100人以上から集める」という判定条件があります。対価性がなければ会費も寄付金として認められます。認定NPOになるつもりなら、早い段階から会員を募っておいた方が有利なのです。

 

第3話「寄付金を集めよう!」

 メンバー集めをしつつ、この頃から同時進行で設立手続きも進めることになりました。

 この段階でB郎とC子は『理事となる自分たちも会員費を払う必要があること』を初めて知りました。人数不足や乗っ取り対策などの理由で、自分たちが正会員も兼任することになったからです。

 正会員の会員費はA男の判断で月5000円でした。払えない金額ではないので承諾しましたが、想定外の支出の話に、ちょっとだけ引っ掛かりを覚えました。

 

  賛助会員集めの方は、B郎とC子は上手くいきませんでした。NPO自体に具体的な活動内容がなく、その点は会員自体が行う為、創作など既に個人で活動をしている人でもないと、興味をもってくれませんでした。決まっていることといえば、賛助会員の会費が月3000円という部分だけでした。

 

 A男の方はフェイスブックで相互友達になっている1000人のアカウント全員に対し、一斉にメッセージを飛ばしました。

 そして同じ地域に住んでいた10人の学生が会員になってくれることになりました。皆アーティスト志望で、自分の創作活動がNPO法人から発信できるというメリットに飛びついた学生でした。

 

活動がまだ動かない内は、寄付金集めの最初のターゲットになるのは会員です。軸となる活動がない内から認定NPOの為に動きだすと、成り行きでこうなるのです。

 

第4話「私たちは障害者だから…」

 ミーティングに学生たちも参加することになり、皆でやりたいことや今後の活動計画を話し合いました。ミーティングは人数が増えたことで大盛り上がり。自分たちはすごいことをしていると皆が信じていました。

 

 しかしこの頃から、B郎とC子には少しずつ不信感が募りだしていました。

 なぜなら、代表となるA男がなにもしていないからです。

 

 B郎もC子も、最初の頃は「自分たちはできないだらけだけど、協力して進めている」という状況を楽しんでいました。

 

 しかし、設立手続きも会計も、自分たちは会ったこともない知人の専門家とやらに丸投げで、A男は何も知りません。A男が知らないので、当然、B郎もC子も何も知らず、言われるがままに書類にサインをしただけでした。

 A男は今まで触る機会がなかった等の理由でパソコンもろくに操作できませんでした。

 この為、活動サイトの制作や会員情報の管理、A男が人脈作りで会いに行った相手からのメールの返答なども、すべてB郎とC子が日々の合間にやっていました。

 

 B郎とC子は、A男に内緒で二人だけで会い、今の状況を整理しました。

 ミーティングはやりたいことの話をするばかりで、その話が出尽くした後の実現方法の話に移ると、決まってA男は、ビジネス書や啓発書の内容を引用した話を皆に聞かせるばかりで、具体的なことを言ってないことに気が付きました。

 

 その話の後、誰か閃いたりふと気が付いたことを「じゃあこうすればいいんじゃない?」と言うと、A男が「はい正解っ」とか言って、なんとなく話が進む。これがいつものパターンでした。

 

 これまでB郎とC子はいろんな場面で「さすがA男だな」と思いながらこれまで付いてきていましたが、よくよく振り返ってみると、ここまで全てが突貫工事で進んでいるようなものでした。超ド級のデジタル音痴についても、最初の内に詳しく話しておいてほしかったことだし、「ていうか普通は言うべきことだろ!」と苛立ちました。 

 

 でも、今の状況は成り行きでこうなっただけであり、メンバーのほとんどが障害当事者で、社会人経験の乏しい人たちなのだから仕方ないと思うしかなく、とにかく自分たちでできることをきっかりやろうと言って納得しました。

 

ネットニュースに詳しいA男が実はデジタル音痴だったなんて、B郎とC子はこの時まで想像もしていませんでした。発達障害同士ということもあり、最初は「いいよ、こっちでやるよ」で済ませていたのですが、時間をかけてそれが積み重なり、ついにはほぼ全ての事務作業を周囲がやることになっていたのです。

また、やりたいことを言い合うばかりのミーテングはおよそミーティングと呼べる状況ではなく、そこにビジネストーク好きなA男が加わるだけで、これも成り行きで啓発セミナー状態になってしまいました。

 

第5話「聞いていた話となんか違う」

 無事に設立手続きが終わり、NPO法人を名乗れることになりました。そして会員費の支払いも始まりました。

 学生たちは、NPOを大きくする為というA男からの提案により、創作活動の発信をする時は、このNPOのメンバーであることも名乗ることになりました。こうして自動的に彼らの創作活動はすべてNPO法人の活動実績として挙げられることとなりました。

 

 さらにメンバーを増やして自分たちが大きな活動をする為に、賛助会員である学生たちが自ら、自分の友達や障害当事者仲間を誘うことになりました。

 会員費の安さと、一緒にNPO法人活動ができることをアピールしました。

 こうして新たに何人かの学生が会員になってくれました。

 

 しかしその頃から、B男とC子は賛助会員の学生から相談を受けるようになりました。聞いていた話となんか違うというのです。

 

 アーティスト活動に専念したいし、それができるようになると言われて入ったのに、自分たちが会員集めをすることになっているのはおかしい気がする、という相談でした。

 

会員が増えればより大きな活動をすることができます。学生たちは自分たちの作品をもっと多くの人に見てもらいたいと思っていたので、自分たちも会員を集めようと自発的に考えるようになりました。

 

第6話「これじゃあマルチ商法だ!」

 B郎とC子はより詳しく聞く為に、学生たちを集めて話し合いをしました。

 会員集めをすることについては、A男から強制されたわけではないとのことでした。学生たちが自発的に始めたことでした。

 でも、そうしようと積極的に思ってしまった状況に、強い違和感を覚えたということでした。

 

 そして2人はここでようやく気が付きました。

 自分たちがやりたいことをやるというだけなら、別にNPOじゃなくてもできるのです。

 これではただの実績泥棒で、おまけに、会員を増やしてお金を上へ吸い上げるという性質は、マルチ商法と同じだったのです。

 

※引用

商品を販売しながら会員を勧誘するとリベートが得られるとして、消費者を販売員にして、会員を増やしながら商品を販売していく商法です。

 

 

 こうしてB郎とC子と賛助会員は全員、A男の元から去ることにしました。

 

 後日、B男とC子はA男を呼び出し、そこで皆が脱退することにした理由を丁寧に話しました。

 

 A男は黙ったまま最後まで話を聞きました。そして「……よくわからないんだけど」と、困惑した様子でそう言いました。

 

 それが、最後のミーティングとなりました――

 

 

解説

 読了ありがとうございました。上の話は実体験を基に考えたオリジナルストーリーで、当時、私はB郎の立場でした。

 

 あなたはどの段階で「ちょっと待った!」をかけることができましたか? 自分の身に起きそうなケースで想像してみてください。

 

 正解があるとすれば、第1段階の時点でNPOをやると決断する前に、まず3人だけで具体的に話し合う期間が必要だったと私は考えます。

 それができていれば、どこかでA男の無鉄砲な思考が明らかとなり、少なくとも色んな選択肢を得ることができました。

 

 私の時は、代表とC子がNPOをやるという決断が既にあった状態で、私はしばらくミーティングに加わるだけの立場で、後になってから正式にメンバーに誘われて了承した、という流れです。

 私は二人の真剣さと人格を、ミーティングを通してみていたつもりでした。それでも上でのストーリーのような顛末になりました。

 

 他人を活動に誘っている人が、実は思い付きで決めただけだった、口だけでなにもできない人だったと暴くことは、とても難しいことなんです。

 

 話に戻ります。

 結局、B郎とC子はその実態を察知できないまま承諾してしまい、ずるずると流されてしまいました。もやもやすることがあっても「障害特徴だから」などの理由で流しながら、自分を納得させていました。

 

 そうして、認定NPOに成る為にただひたすら会員集めばかりしているNPOが出来上がりました。NPOとしての活動実態は、たまに他の障害者が中心となっているNPO活動に挨拶に行ったり、会員が元々やっていた創作活動を、NPOから発信しているだけです。

 その状態を活動のゴールとしていたわけではありませんが、その状態が精一杯でした。

 

 この「会員を集めまくる」と「お金が上へ吸い上げられる」は、特定商取引法で規制されている連鎖商法と性質がよく似ています俗に言うマルチ商法ねずみ講というやつです。

 

 通常の活動なら、まず一つの活動に集中してじっくり育て、その実績をみて、活動範囲などの規模を拡大するとともに会員を集めるという流れですが、「多動力」の特性が原動力となったことで、軸となる活動内容の成長よりも、活動自体が会員集めの方に集約されてしまい、意図しない成り行きで連鎖商法化の一途を辿ってしまったというわけです。

 連鎖商法は主に商品の購入の話ですが、この場合、「商品を買う」が「会員になる」に、すり替わっているだけなのです。

 

 

 代表が「多動力系」や、俗に言う「意識高い系(他人の言動を損得基準で考えてすぐ指摘したがる人)の場合、注意して進めないとこのようなパターンに陥りやすいと私は考えます。

 

 私なりに、この顛末を回避できるケースを考えてみたのですが、例えば、代表が誘った初期メンバーとなる相手が皆一人でなんでも最後までできちゃうハイスペックな人で、思い付きを丸投げされても社会常識に沿って事を進められる人で、代表がなにもできなくても文句を言わず黙々と代わりに遂行する、そんな、自分の意思をもたない高機能操り人形を集めることができた場合なら、表面上、健全な活動をしている体裁を維持できるでしょうか? 残る課題は、その状態を「活動がうまくいっている」と評価できるか否か、その点に絞り込むことができます。全員が「うまくいってる」と思えるなら、それでいいんじゃないでしょうか。

 

 私は常識的に考えて、「これはダメだ、ただの詐欺だ」と思いました。次の段階があるとしても、「この代表では今の段階を突破できない」と考えて抜けました。会員になってくれた学生たちも、詐欺にあってしまった気分だと言って抜けていきました。

 それが、一般常識や社会通念に沿った上での、真っ当な判断だと私は思います。『普通の感覚ならみんな抜けていく』、これが「多動力系NPO法人がうまくいかないと考えた理由」です。

 

 

 今日もどこかで、「多動力系」や「意識高い系」の人が、NPOをやろうと思い立っているでしょう。そして、当事者会などで仲良くなった友達の障害当事者に「一緒にやろうぜ」等と声をかけていることでしょう。

 

 どれだけ親しい相手から誘われたとしても、決断は保留にして、まずは話し合いの期間を十分に設けたり、活動が安定するまでは外部の立場から手伝うといった形で、話を聞くことをおすすめします。

 

 NPOは素晴らしい制度です。その活動が失敗に終わることなど、誰も望んでいないのです。

 

 ご感想、コメント、お待ちしております。

 

 

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