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ブログ開始日 2015年12月31日
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当ブログの発達障害に関する記述は当事者の体験に基づく考察です。ご了承の上でお読みください。
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発達障害考察ブログ HYOGOKURUMI.Scribble

言葉は嘘をつきません

Kindle本『発達障害考察本』PR第1弾:無料版掲載

 現在、来未炳吾の活動終了に伴い、昨年6月に公開した「【図解】発達障害攻略マニュアル――生き辛い境遇からの脱出」のKindle版を制作中です。(※19/4/1 発売しました。➡Kindle本『発達障害考察本』PR第6弾:ついに発売! )

 

 そのPRとして本書の無料版を掲載することにしました。本記事で「はじめに」「著者エピソード」「ケアレスミスの改善法」の範囲までお読みいただけます。

 

 ケアレスミスの改善法は、元記事「発達障害特徴の克服その1『ケアレスミスはこう治せ!』」(2016-03-21掲載)が話題になった際も、多くの方から反響があり、当ブログの代表記事となりました。現在も毎日アクセスが止まりません。(参考:反応まとめ 発達障害特徴の克服その1『ケアレスミスはこう治せ!』 - Togetter)

 

  掲載の理由は、単純に宣伝の目的もあるのですが、私は第1章に記したケアレスミスの治し方だけは、発達障害界隈の、特にグレーゾーン境遇にいる皆さんに知ってほしいと思っていまして、ここまでは公開することにしました。

 

 本記事の無料版をお読みいただくだけでも、当事者達が陥っている境遇が伝わると思います。そして、発達障害の症状は決して「障害だから治せない」と簡単に言い切れるものではないこともわかると思います。

 

 発達障害問題に関心がある人もそうでない人もぜひお読みください。

 

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はじめに

本書の制作まで

 本書は31歳の時に自閉症スペクトラムの診断を受けた私「来未炳吾(筆名:くるみ ひょうご)」が、これまでの『発達障害』的半生の中で会得した発達障害の改善法を言語化してまとめたものであり、私のブログ『発達障害考察ブログ HyogoKurumi.Scribble』内にて掲載している同内容記事の電子書籍版です。

 同記事は発達障害の話題でよく挙げられる症状、「ケアレスミス・コミュ障・習得困難」の改善法をメインに、私の発達障害考察の全てをまとめたものなのですが、改稿と追記に次ぐ追記により記事本体だけでも15000文字強となってしまった上に、補完の為にリンクを引いた元記事でさえも軽く10000文字を超えているものばかりと、ブログで読破していただくには多大な労力を強いる内容となってしまいました。

 現在は改稿と追記も落ち着いたのですが、以前より電子書籍で読みたいという要望もあり、これらの課題をまとめて解決すべく、一本の内容として読めるように制作したものが本書となります。

 

 2016年3月、「発達障害特徴の克服」と題してブログに掲載したケアレスミスとコミュ障の記事が話題となり、多くのアクセスをいただきました。Twitterなど、ネット上にご意見を残してくださった方のプロフィールをみますと、会社員やアルバイト、主婦といった一般職の方だけではなく、薬剤師や精神科医といった医療従事者の方もおり、職種を問わず多くの方からご理解と納得、そして感謝の声を頂戴できたと自負しています。

 掲載からもうすぐ3年経ちますが、現在も連日アクセスが止まらない状態が続いていることからも、発達障害に悩む人には職種や立場に境目がなく、社会全体の課題になっている現状を改めて痛感する次第です。

 2019年現在、発達障害は当事者と関係者、そして医療やメディアなどの積極的な発信により、その存在が広く知られるようになりました。しかし、行政支援や相談窓口などの整備は進んでいるものの、その多くの働きは足並みが揃っておらず、社会は発達障害のことで混乱しているのが現状です。巷では診断基準を疑問視する声も、確実に定着しつつあります。

 更にその”外側”では、発達障害が疑える症状を抱えているにも関わらず、診察を受けても診断が下りなかったという人や、個々の事情により診察を受けていない、あるいは受けられないでいる等々、発達障害者のようだけど正式な診断を有していない『発達障害グレーゾーン』なる存在も確認されています。現に私自身が診断を受けられた31歳まで、グレーゾーンの境遇にいました。

 

 本書はそのグレーゾーンのような、医療や行政など、どの支援の受け皿にも掬われていない境遇の中で生きている人たちを主なターゲットとして、「発達障害の症状をどうしても治したい」という改善願望の強い方や、「治すしか道はない」といった、厳しい境遇にいる方に読まれることを想定しています。

 その本編の前に、本書の性質についてきちんとご理解をいただく為の、前置きからお話しさせていただきます。

 まず、本書は精神科医など専門家の監修がついていないセルフ出版であり、本編にてお話しする改善法は、その大部分が医学的見地に基づいた回答ではなく、本書の著者であり、発達障害の診断を受けている私自身の、実体験からなる気づきを根拠としています。ですので、「当事者の考察」がベースであることを第一にご理解ください。

 本書の社会的価値は、それ以上それ以下でもございません。

 その上で、発達障害の症状を改善した話となりますと、「本当に発達障害の症状を抱えていたのか」「本当に治したと言えるのか」といった、いくつかの警戒心を持たれるかと思いますので、はじめに私自身の発達障害的生い立ちを記します。

 

著者生い立ち

生誕~高校中退まで(1983年~1999年)

 1983年1月に出生。フランス料理店を営む両親の間に生まれました。幼少期の頃の私はハサミで唇を切ったり、ヒーローごっこをして階段から飛び降りたりするなど、大きな怪我を何度もしたそうです。

 小学生の頃は授業中徘徊をするなど、6年間を通して落ち着きがなく、衝動性が目立つ生徒でした。

 中学生になった私は真面目を意識するようになりましたが、自身の非定型的な人格には無自覚なまま、まるで教師のような目線でクラスメイトに注意をするなど、真面目すぎるわ衝動性が強いわで、すぐに嫌われてしまいました。

 自分は酷い奴らからいじめられていると思い込んでいましたが、中2の時に小学生からの友達にも嫌われたことをきっかけに、自分の人格のおかしさを自覚することができました。それから普通の人を意識するようになり、対人トラブルを起こしながらも、日常は少しずつ平穏に近づいていきました。

 高校は人間関係をやり直す為に自分しか進学しないところを選びました。しかし、また人間関係で大きな失敗してしまい、自信をなくした私は高2の夏に中退しました。

 

家業就職~一人暮らしまで(1999年~2006年)

 高校中退後は家業の飲食店に勤めながら掛け持ちでアルバイトも始めましたが、仕事の覚えが悪い上に細かいミスが絶えず、どこで働いても迷惑をかけまくりました。

 18歳の頃、コミュニケーションを勉強し直そうとネット環境を整えてオンラインゲームをプレイしたり、日記をつけたりするようになりましたが、大きな改善効果は得られませんでした。

 23歳の頃に家業が経営不振の為に自己破産しなければならない状況になり、最終手段として、私が両親の借金を引き継いで店を存続する計画が浮上しました。
 自分が店主になるかもしれない、という目線で店を観察するようになったところ、母の仕事のやり方が非効率だったことに気がつき、2000年に話題になった「片付けられない症候群」のことを思い出しました。この時に発達障害のことを知りました。

 発達障害の関連書籍などを読み漁る内に、自分自身や両親のことだとしか思えず、借金の返済は無理だと判断して自己破産をさせました。
 店舗兼住宅だった家がなくなることに伴い、私はそれを機に一人暮らしを始めました。

 

一人暮らし~放浪旅まで(2006年~2008年)

 人生初の一人暮らし。仕事はデジタル製品の動作をチェックする「デバッグ」という夜勤のアルバイトを選びました。しかし、同僚の異性にストーカー的な行為をしてしまいました。その出来事をきっかけに『これ以上、一人で頑張ってはいけない』と考え、市内の大学病院の精神科で発達障害の診察を受けることにしました。

 その病院では、問診さえろくにしてくれなかった上に、統合失調の可能性を指摘されるなど、適切な診察をしてもらえないまま帰されそうになったので、WAIS(成人用知能検査)のテストを受けさせてほしいと自らお願いしました。
 その結果は発達障害の否定となりましたが、テスト結果の数値は概ね自分の自覚していた特徴を言い当てており、私は満足することができました。

 病院を出た私は、もっと自分の気持ちに正直になって生きようと思い、放浪旅をすることに決めました。脳に新鮮な刺激を与えることは、発達障害症状の改善にも通ずるという確信めいた予感がありました。

 そして数ヵ月の準備期間を経て、私は本当に放浪旅に出ました。

 

放浪旅~本書の制作まで(2008年~2019年)

 旅先で出会ったネカフェ難民との交流を通して、「自分の求めるものは社会の中にある」と再認識した私は、東京のシェアハウスで生活を始めました。仕事は一人暮らしの頃と同じデバッグのアルバイトを選びました。その新しい生活が始まってすぐ、私は自分の変化に気づくことができました。人との会話や仕事の習得が、ちゃんとできるようになっていたのです。

 それからの私は、放浪旅のなにが改善に繋がったのか、その『脳』に起きた変化の解明と言語化に取り組むことにしました。

 本書の内容はその十年の軌跡の集大成であり、真っすぐ馬鹿正直に、「普通の人」を目指して生きた、一人の発達障害当事者が辿り着いた結論です。

 31歳の時、転職の為にハローワークへ足を運んだことがきっかけで、私は発達障害の再診察を受ける機会を得られました。そして私は問診や各種テストの末に、発達障害の一種である『自閉症スペクトラム』の診断を受けました。

 でも、発達障害の生き辛さは私にとってはもう過去のことで、今は落ち着いた日常を過ごすことができています。
 放浪旅という、標準的な社会人生活の営みでは体験できないことをしていますから、別世界のことのように思われるかもしれません。実際ほとんどの読者さんとは、それに近い距離感だと思います。

 それでも、きちんと条件を満たせば、誰でも得られる結果だと私は考えています。

 そんな平凡の人生を得る為に必要な考え方と行動を、この本に詰め込みました。
 ぜひ最後までお付き合いください。

 

幕間

 本編の前に、本書の特徴をおさらいします。

本書の特徴
  • 当事者考察がベースです。
  • 発達障害に関するな医学用語はほとんど使っていません。DSMやICPなど精神医学の知識に詳しくなくても読めます。
  • 発達障害の症状としてよく挙げられる「ケアレスミス・コミュ障・習得困難」の改善法が本書の内容です。
  • 周囲の理解や支援を必須条件としません。治療薬への誘導も一切ありません。
  • 精神/発達障害用の治療薬を使用していない人を読者対象としています。
  • 「発達障害」は、知的障害やチックなどの症状も対象となる言葉ですが、本書ではほとんどの場面で、口語的な意味合い(ケアレスミスやコミュ障などよく話題に挙がる症状の総称)として用いています。

 

特にこんな人に読んでほしい
  • 周囲の理解や、医療・行政などの支援を頼れない人
  • 精神/発達障害用の治療薬を使いたくない人
  • どうしても発達障害の症状を治したい人

 

お断り

 私はただの一般人です。医者でもなければ専門家でもありません。本書の内容により実際に症状が改善したとしても、その結果について社会的効力を有する何らかの証明書を発行することはできません。改善法について「やり方として正しいと思う」とコメントしてくださった精神科医の方もいますが、標準的な医療行為として定着している方法ではないので、何らかの診断書が得られるわけでもありません。

 診断済みの方の中には、「これで本当に改善できたら発達障害の診断が外されるのでは?」「障害者手帳の更新時に障りがあるのでは?」ということを気にされる方もおられるかと思いますが、その点に関しても、私はなんにもわからない人です。ただ、改善できた私自身が今も手帳を所持している立場ですので、そこらへんの考え方はあとがきにて触れています。

 本書の改善法と相性がよければ、私のように発達障害の症状や生き辛さとはおさらばできます。最後までお読みいただければ、発達障害を「回復」や「予防」という観点から向き合う為の考え方も得られます。

 ただし、覚悟は必要です。これまで「障害だから仕方ない、治せない」などで済ませてきた部分については、本書を読めば必然的に「治せるかもしれない方法がある」という選択肢を、知識として得ることになります。その中には今の生活を大きく変えることでしか得られない手段もあり、それは新たな課題となるでしょう。例えば、既に治療薬が止められないほどの依存に陥っていたり、家のローンなど多額の借金があったり、親の介護中などで、どうしても仕事や生活を変えられない境遇にいる人にとっては、本書の存在が救いどころか、呪いになってもおかしくないと思います。

 本書が「希望」になる人もいれば、そうではない人もいる。そういう現実のことも考えながら、私は本書を作成しました。


第1章 ケアレスミスの改善法

症状概要:発達障害のケアレスミスとは

 発達障害の代表的な症状の一つに「集中困難」があります。この症状は不注意、多動性、衝動性の3つに分けられています。

 この内、多動性と衝動性に関しては、周囲が振り回されてしまうなどの課題を抱えつつも、個性や能力として認められやすい一面があります。

 しかし不注意に関しては、周囲からのプラス評価や生産力に繋げにくい特徴であると言わざるを得ず、今日も多くの人が治療法を求めています。どれだけ気を付けても異次元的な頻度でミスをしてしまうので、働くことが怖くなり、最終的には死にたくなる症状です。

 本章ではその不注意の代名詞である、「ケアレスミス」の改善法をお伝えします。

 

 とその本題の前に、まず私の実体験を踏まえて、症状の概要や当事者の境遇からお話しします。まだ労働未経験の学生さんや、発達障害と関りがなかった人も、この項をお読みいただければ、当事者たちの想像を絶する境遇がイメージできるかと思います。

 発達障害のケアレスミスとは、ミスが多すぎて仕事を任せられないほど酷く、雇用主が解雇を考えなくちゃいけないくらい頻度が多いものです。普通の人が月に一度やるかやらないか、あるいは絶対にやらないようなレベルのミスを何度もやらかします。確認ミス、見落とし、判断ミスなど、あらゆる属性のミスが複合する為、誰も想定していなかったぐちゃぐちゃな惨状を作り上げてしまいます。その中には取り返しのつかない、大損害に通ずるミスもあるでしょう。

 小さなミスも積み重なれば、出世や昇給など仕事の評価にも響きます。この社会は人格に難があっても仕事さえできれば認められる傾向にありますが、どんなにいい人でも、簡単なことができない人に責任のある仕事を任せることはできません。

 周囲の丁寧な説明も優しい注意も空しく、どれだけ反省を繰り返しても同じミスを繰り返してしまいます。メモを取らせても字が汚くて読めなかったり、自分で書いたメモの内容を理解していなかったり、メモしたことを忘れたり、そのメモを無くしたりと、「今までどうやって生きてきたんだ?」と呆れられるほど酷いのです。

 何事もなくその日一日を終えるという、普通の人にとっては当たり前の日常を送ることが難しく、仮にミスをしなかったとしても、その結果はまぐれであると考えた方がいいくらいです。

 

 このミス地獄のせいで、精神面にも深刻な影響を及ぼします。「確認したはずなのに」「絶対大丈夫だと思ったのに」「メモをとったのに」「聞いた通りにやっているはずなのに」……と、自分の記憶との整合性が取れない現実に頭が狂いそうになり、自分や周囲のことが信用できなくなるんです。監視カメラを仕掛けて、自分がどうやっていたのかを確かめたくなるくらい疑心暗鬼になってしまいます。

 そんな情緒不安定な精神状態へ追い打ちをかけるように、周囲からは勤務姿勢を疑われ、叱られて呆れられて馬鹿にされます。

 最初は優しかった職場のみんなの目が、ゴミを見る目に変わっていくんです。

 それでも負けじと一生懸命なんとかしようとする意識が、さらなる悪化を招きます。もうどこからが障害特徴によるミスで、どこからが疲労によるミスなのかもわかりません。これがうつ病や統合失調など、二次障害を抱えてしまう背景の一面です。
 そうして当事者たちは、自分が壊れない為、そして周囲の環境を壊さない為に、精神科で処方されるお薬を頼ったり、自主退職をして職場から去っていくのです。

 

 このように、ケアレスミスは発達障害者が転職を繰り返す主な理由の一つなのです。この症状を改善しない限り、その人は一生、底辺生活から抜け出せないと言っても過言ではありませんし、解雇もされやすいので、その底辺生活の維持すらも困難なのです。


私の場合

 私も長年、自身の不注意に頭を抱えていました。簡単な業務でさえも、例えるなら綱渡りに挑んでいる時のような不安と緊張で頭が一杯になりました。一応ですが、私は綱渡りをしたことはありません。あの辛さを語る上で、日常の中には比較になるものがない、ということです。

 家業の飲食店雑用、ゲームショップ、コンビニエンスストアは3店、デバッグ会社など、一般的なバイトからレアな仕事まで経験しましたが、ケアレスミスはどの仕事でも私を苦しめました。

 私は何度も何度も、「あぁぁアぁあアアあアアアッッッ!!!! 違う! こんなの違う! 見た! さっき見たのに! 見たはずなのに! うわぁぁぁぁアアアあああアあーーーん!!!」と、叫びながら暴れそうになったことがあります。

 

 6年程勤めた家業の飲食店では、注文を書き間違えたり、食器を割ってしまうことはざらで、月に何度もやってしまいました。注文数に対して用意するお皿や料理の数を間違えるとか、調理器具や備品の掃除では、手順を間違えて必要な工程を飛ばしてしまうとか、最初に取り出した食材を中に戻し忘れるとか、言い出せばキリがないです。

 コンビニとゲームショップのバイトでは、商品の置き場所を間違える、レジが合わない、釣銭を渡し忘れる、商品化までの手順や値段の付け方を間違えたり勘違いする、在庫確認の為に待たせたお客さんをほったらかしにしてしまう、といった感じで、端的に言えば全ての業務の全工程でミスの経験があります。ゲームショップでのディスクを研磨する業務では、研磨機にセットする時にディスクの向きを間違えて、レーベル面を削ってしまったことが何度もありました。デバッグ業務の時は、映像記録の為の録画スイッチを押し忘れたり、過去の報告データを読み落としたり、テスト操作して確認した結果を直後に忘れてしまうといったことが度々ありました。

 どれもこれも、誰もがやってしまうミスですが、私は何度も繰り返してしまいました。ミスをしなかった日が珍しいという感じです。

 

 ミスをしない為に、自分の記憶と動作に全神経を集中していたので、覚えたことを覚えた通りにするだけで精一杯でした。なんでも慎重にやろうとするので、どんな仕事も遅かったです。他のことにまで気を回す余裕もありませんでした。そこまでしても成果は良くて普通で、雑だと注意されることもありました。
 仕事に慣れて、自分のやりやすいやり方に落ち着いて、自分なりに手順を最適化するといった、仕事をしていれば当たり前になっていくことが、私にとっては未知の世界のことでした。

 一応ですが、これらは不注意に関する話だけであって、例えば、店長の指示やお客さんの話を勘違いしたなど、他の症状を起因とするミスは別の話です。上でざっと列挙したミスは全体の極一部なんです。

 やる気だけは見せるようにしていたのでクビになったことはありませんが、これ以上、迷惑かけられないと思って、自分から仕事を辞めたこともあります。
 それが放浪旅のあとの社会生活の中で、あることに気が付いて、あることを試してみたら、ケアレスミスの頻度が激減したのです。

 どれくらい激減したかというと、普通の人並の範疇です。ミスをしても「最近ちょっと疲れてるからなぁ」とか「おっとしまった。久々にやっちゃった」など、普通の感想に落ち着くことができました。そして私は、ケアレスミスのことで悩む人生とオサラバすることができたのです。

 その気づきのエピソードは、これからお伝えする克服法の後にお話ししますね。

 

感覚の改善法その1:感覚を分割する脳の使い方を習得しよう!

 まず、「不注意を起こしやすい感覚」と、「不注意を起こしにくい感覚」を別々に体験していただきます。メモ用紙とペンを用意してください。その用意が出来たら、ランダムに出力した下記(15字✖3列)の文字を、2つの方法(AとB)で紙に書き写してください。

 

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 やってみて、いかがでしたか?


 Aは早く最後まで書き写せたと思いますが、書き損じが起こりやすい、つまり「不注意を起こしやすいやり方」だったと思います。これを【感覚A】とします。


 対してBは、一文字ずつ書き写す為に時間はかかりますが、確認しながら行うので正確な結果が得やすく、「不注意が起こりにくいやり方」だったと言えますよね。これを【感覚B】とします。


 私自身も発達障害者の一人なので実際のところは想像ですが、定型の方は通常時が感覚Bであり、疲れた時などは一時的に感覚Aになってしまうと考えられます。対して不注意の特徴を持つ当事者は、ずっと感覚Aであり、感覚はBタイプのような使い方ができるということを、知らないまま生きていると思われます。実際、私もこの感覚の使い方に気づくまで、想像すらしませんでした。

 不注意特性をお持ちの人は、「わかっていることだからそのままやったのに……ちゃんとチェックしてやったのに……自分にブレーキをかけることができない……確認をとらずにやってしまう……またあそこでああしてしまった……落ち着いているつもりなのに……集中しているつもりなのに……さっき見た時はこうだったのに……」といったことに覚えはないでしょうか。

 それらはまさに感覚Aの意識だったと言えませんか?

 

 Aタイプの感覚のまま落ち着こうとしたり集中しようとしたりしても、Bタイプのような正確な結果は絶対に得られません。しかしBタイプを意識すると、何かと時間がかかってしまいます。

 ですから、「速度はAのままで、感覚の使い方だけB」という、ステキな脳の使い方ができればよいわけです。

 

 ではここからは、そのステキ感覚の習得方法をお伝えします。さっきの感覚Aと感覚Bの違いを頭に置きながら読んでください。

 日常の動作で体を動かす時は、感覚Bをイメージしながら、「コマ送り」で動作してください。例えばコップやスマホなど何かを手でつかむ時、ドアを開けたり閉めたりする時など、機会はなんでもいいです。

 通常は1回動くだけで済ませる動作を、何十~何百にも分割して動作する感じです。一瞬動く……一瞬停止する……一瞬動く……と、感覚を分割しながら数ミリずつ動くパントマイムをする、ということです。1つの動作も感覚の使い方次第で、無制限に動作回数を増やすことができます。脳とは、そういう使い方ができるのです。加えて、1つ1つの動作を「初手」にするイメージをもってやってください。行動の一手目からミスをすることはあまりなかったと思います。ならすべての動作を初手にしてしまえばミスも減りますよね。

 屋外でやると変な人になってしまうので、家の中でやりましょう(笑) 脳を筋トレするイメージでしつこくやってください。


 最初の一週間は、頭の中で感覚Bをイメージしながら、体の動きもコマ送り動作で徹底してください。思いついた時だけでいいですから、家の中にいる時はなるべくやりましょう。で、二週間目からは頭の中だけで感覚の分割を意識し、コマ送り動作ではなく通常の速度の動作に戻してください。

 最初の一週間の試行で、感覚を分割する意識の使い方が脳に定着していれば、二週間目以降では、通常の速度で動いていても、感覚が分割されていることを感じ取れると思います。このあたりで、この改善法が自分に合っているかどうかも判定できると思います。(合わなかったらごめんなさい)

 この分割感覚が自然体になれば、自分の意識にいつでもブレーキをかけることができるようになります。不注意のトリガーとなる「確認をせずにやり進めてしまった」とか、「ミスをしているのに気が付かないまま先に進んでしまう」といった動作を防止できるのです。

 初期の変化として、「おっと、手を付ける前に確認しよう」とか、「さっきやったことを再確認しておこう」といった、一時停止させた感覚を意識の中に差し込めるようになります。その後はミスによるストレスが減ると共に、心理的余裕が生まれるようになります。最終的には確認をしながら動作することが当たり前となり、万一ミスをしても「あっ、久々にやっちゃった(てへぺろ)」と、かる~く流せるようになります。

 

 目指すところは「意識すればBタイプの感覚になれる」ではなく、『意識しなくても平常感覚がBタイプになっていること』です。定着の進行度に合わせて、感覚Bを意識する強さも徐々に弱めていってください。

 貧乏揺すりや爪噛みなど、多くの『癖』というものはよくないこととされていますが、この方法はその人体の性質を逆利用したものです。毎日同じことを繰り返していたら、それが嫌でも癖や習慣として身についてしまうことが想像できると思います。つまり、Bタイプの感覚で動作をすることを、癖として身につけちゃえばいいのです。

 この方法ならお薬に頼らなくてもいいですし、一人だけで訓練できます。ただ、実際にやってみればわかると思うんですが、コマ送りで動作する意識を保ち続けることは集中状態の維持ですから、やりはじめたばかりの頃は、かなり疲れてしまうと思います。完全定着するまでの辛抱ですから、適度に気を抜きながら継続してください。

 

 これを読んでいる人も、不注意を克服する為に、たくさん悩んで、たくさん考えてきたかと思います。でも、どれだけ反省して、ミスの経緯を検証しても、感覚がAタイプのままでは絶対にミスはなくなりません。「落ち着こう」「集中しよう」と頭の中で念じても、Aタイプのままでは逆効果です。ダメな感覚の使い方を余計に固めてしまうだけです。それだってBタイプ感覚の上で意識するから効果があることなんです。

 

エピソード:ケアレスミス改善

 さっきの話の記号を書き写す部分を読んで、「なんでそんなことしようと思ったの?」と、気になった方もいるかと思います。ブログに掲載した記事が話題になった際にもそういう質問がありました(笑)

 この感覚AとBの違いに気が付いたのは26歳の時でした。放浪旅後に勤めていたデバッグ会社を訳あって辞めた私は、自分をもっといろんな仕事で試したくなり、漫画喫茶でアルバイトを始めました。パソコンの操作はできるし、漫画も大好きでしたから、自分と相性がいいのでは?と、以前から気になっていた仕事だったんです。

 当時のケアレスミス改善度は、「慣れていることなら大丈夫」で、あと「焦らなければ平気」という感じです。デバッグの仕事は元経験者だったこともあり、ケアレスミスに悩まされることはありませんでした。しかし漫画喫茶の仕事はその時が初めてで、不慣れな仕事については所々で手順を間違える、やり忘れるなどのミスをして注意を受けていました。ミスの頻度は放浪旅の前ほど酷くはありませんでしたが、やはり普通の人よりは多かったようで、先輩を苛立たせたことがありました。

 私はその日々を送りながら「なぜ放浪旅でケアレスミスが改善されて、なぜ漫画喫茶ではミスの頻度が増えたのか」ということを考え続けていました。放浪旅の後から、なんとなく感覚のピントが調整されている感じはありました。でも不安定であることは確かでした。ですから、「丁度いい感覚のピントを特定して、その設定で固定できれば解決できる」というイメージが頭の中にあったので、あと一歩のところまで来ていると思い、懲りずに考え続けていたのです。

 

 そんなある日のある時、入店と退店のラッシュがありえないタイミングで重なり、レジの前にそれまでに経験がない程の列ができてしまったことがありました。仕事には慣れてきた頃でしたが、「これはいつもの感覚でやったら絶対にミスしてぐちゃぐちゃになってしまう!」と思った私は、咄嗟の思い付きで、レジ受付の工程を「頭の中で分割」しならが、「動作も分割」してやることにしました。

 伝票を受け取る→カウンターに置く→ありがとうございますと言う→バーコードリーダーを手に取る→バーコードをスキャンする→会計を読み上げる……という感じで、つまり「今の動作」と「次の一手目の動作」だけを意識して「動いた」のです。ミスをせずにやり通すことはほぼ諦めていて、その開き直りがあったから、このような大胆な選択ができんだと思います。

 それまでの私は、どんな仕事でも始めから終わりまでぜんぶ頭にイメージしてから手を付けて、そのイメージの流れに沿って体を動かそうとしていました。感覚Aのことです。さっきの状況の場合で言うと、一人目のお客さんから最後の人までの業務工程を全部頭にイメージしながらやる感じです。でもこの時はそこまで考えようとせず、『次の一手目のことだけを考えてやるようにした』というわけです。

 この判断による体験は、私にとって衝撃的な気づきをもたらしてくれました。『業務の全工程を意識しなくても、次の一手さえわかっていれば、体が勝手に動いてくれた』のです。しかもこの頭の使い方の方がとても楽であることも、同時に理解できました。

 雪崩のような会計処理を無事に終えた私は確信しました。「これだ! これが普通の人の感覚に違いない!」と。そして「この感覚をなんとかして自分の普段の感覚にしよう」と考えた末に、本項でお伝えした改善法の考案に至ったというわけです。

 

 私は「特別な時間をとる必要がない訓練方法」を理想としていました。優れた方法であるとしても、毎日その為に30分とか1時間とか、特別な時間を費やさなければいけないようだとやる人は大変です。ですから「なるべく日常の普段の生活の中でできること」を基準に考えました。私の目標はあくまでも「普通の人になること」でしたから、「普通の人がやらないこと」はやりたくなかったというのもあります。
 このような基準で考えた末に、「感覚を分割したことがよかったのだから、日常の動作も分割してやれば、そのうち脳の癖として定着するのでは?」と考えたわけです。

 

 そして予想通り、分割動作による訓練をやり初めて二週間が過ぎた頃、イメージ通りの効果を得ることができました。分割動作を意識するようになってから、ミスを全くしていないことに気が付いたのです。更に、それまでなら確認をせず手を付けていたようなシチュエーションでも、一旦意識を止めて、確認してから手を付ける、ということが当たり前のようにできるようになりました。

 ミスをせずその日の仕事を終える事が当り前になったので、気持ちに余裕も生まれました。今まで自分が積極的に関われなかった仕事にも取り掛かれるようになり、結果的に業務の理解度も深まりました。

 高校を中退して就労してからおよそ9年間、私を苦しめ続けたケアレスミスはこうして改善されたのです。

 この訓練方法があなたとベストマッチしていれば、きっと同様のフローを辿れると思います。ぜひ試してみてくださいね。

 

幕間

 ケアレスミスを改善する上でポイントとなることは「感覚のピントに当たりをつける」ということと、「そのピントで感覚が安定するように定着させること」だと私は考えます。本章でお話したような反復的なトレーニングが良いでしょう。

 ケアレスミスを治す努力をして改善できなかったという人は、この2点の条件について今一度検討してみてください。「もうミスしないぞ」と念じていただけだったとか、ピントは当てたけど定着するまでの訓練をしていなかったとか、訓練はしていたけどピントを定めていなかったとか、そういうことではなかったでしょうか?

 私はこのケアレスミスの改善法だけでも、発達障害の症状に苦しんでいる全ての人に知ってほしいと思っています。

 生きていればいつか『自分が絶対にやらなければいけない時』や『できる人が自分しかいない時』があるんです。それが仕事云々のことだけではなく、自分や家族、他人の命がかかっている時なのかもしれません。

 一分一秒を争う時に、自分の不注意を気にしている余裕はありません。そんな時の為にも1つだけでいいから、「頼りになる感覚」を習得しておきましょう。

 


 

 お読みいただきありがとうございました。ここまで16000文字ちょっとです。

 PRは出版までに第3弾までやろうと思っています。続報にご期待ください。

 

 本書は発達障害の症状を治したいと考えている人にとって、最初の一冊目となる定番本として、長く愛されるものになるよう鋭意制作中です。値段はこだわり価格で「定価500円」を想定しています。

 本記事をシェア等して広めてくれると励みになります。宜しくお願いします。

 

 なお、タイトル含め、本書の内容は実際とは異なる場合があることをご了承ください。

 

※2019/2/27 33歳で診断は誤りで、実際は31歳でした

※2019/2/28 文章内容を最新のものに更新

※2019/3/07 文章内容を最新のものに更新

※2019/4/22 タイトルとサムネ、文章内容を最新のものに更新

 

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